岩田剛典が考える、いいパフォーマンスの秘訣「大切なのは、自分自身が楽しめる現場づくり」
ストレス発散の秘訣は、食と酒と睡眠!
本作は、偉大なるイエスとブッダがバカンスと称し、ゆる~い日常を楽しんでいる姿が見どころの一つ。商店街の福引きで盛り上がったり、ベランダにできたツバメの巣を見守ったり、彼らの何でもないひとときに、気づけば観客も心を癒されている。 「日常の何気ない瞬間に幸せを見出すのは僕も同じですね。僕なんてもっと単純ですよ。朝起きて窓を開けて、気持ちのいい風が流れ込んでくるだけで幸せになれる。天気が良くて空気の澄んでる日とか、それだけで1日ゴキゲンでいられます」 とはいえ、日々生活をしているとストレスはつきもの。岩田はどうやってゴキゲンなハッピーマインドを保っているのだろうか。 「食べることが好きなので、食と酒があれば、わりとそれで嫌なこともスカッと忘れられるタイプではあります。あとは、寝ることですね。食事と睡眠は大事だなってしみじみ思います」 先日も、楽しい食事の場がいいエネルギーチャージになったという。 「(映画『AI崩壊』で共演した)大沢(たかお)さんとご飯に行かせていただいて、あの夜はすごく楽しかったです。お会いするのも本当に久しぶりだったので、まずはお互いの近況報告から始まって。なんでもない世間話もしたし、業界の話もさせていただいて、いい刺激になりました」
僕が人に気を遣うのは、自分のためなんです
連続テレビ小説と日曜劇場という今最も注目されているドラマ枠で存在感を示した2024年。俳優としてまた一つ次のフェーズへ進んだように見えるが、本人はどのように感じているだろうか。 「話題の作品に立て続けに出演させていただけたことはとてもありがたいなと思っています。ただ、それで自分がどう変わったかは自分ではわからないんですよね。たぶんそれを感じるのは、これからなんじゃないかな」 グループ活動と並行し、ソロアーティストとしても積極的に活動。パイオニアとして道なき道を切り開くその背中に、尊敬する先輩として岩田の名前を挙げる事務所の後輩も多い。 「本当ですか。でも恐縮ですよ。僕はただ手堅くやってきただけです(笑)」 いつものようにくしゃっと目元を綻ばせ、そう謙遜する。 「やっぱりグループというのは永遠ではないですから。自分が長くこの仕事を続けていくためにどうすればいいか考えて、自分にできることをやってきただけというのが正直なところです。俳優業の良さは、年代ごとに役柄が変わって、求められることも変わっていくところ。だから、僕自身も変わることを楽しんでいきたいな思っています」 気づけば、俳優業も10年を超えた。この冬は、ドラマ『フォレスト』で主演を務める。 「最近思うのは、現場の経験値が高いと、自分もリラックスした状態で現場にいられるんですよね。リラックスできると、ちゃんと周りを見た立ち居振る舞いができる。そうやって人に気を遣えると、自分自身も楽になれるんです。だから、僕が人に気を遣うのは、ある意味、自分のためと言えるかもしれない。打算的に聞こえるかもしれないけど、いいパフォーマンスをする上ではそれも必要なことなんですよね」 その言葉の裏側にあるのは、これまで積み重ねてきた経験の数々だ。 「昔はもっと自分から閉ざしているところはあったかもしれない。でも現場で緊張して肩肘張っていても、あんまりいいことがないと気づいて。そこからは自分自身が楽しめる現場づくりを心がけるようになりました。どうしてもストレスが溜まりやすい職業だからこそ、なるべく自分が自然でいられるように。そのために、コミュニケーションというものがあるんだと感じるようになりましたね」 岩田剛典のまとう上品で柔らかな空気は、持って生まれた気質によるものだと思っていた。けれど、居心地の良い環境をつくるための彼自身の工夫と努力が、周りの心もまろやかにさせているのかもしれない。 肩肘張らず、伸びやかに。岩田剛典は、自然体のまま2025年も道なき道を切り開いていく。 取材・文:横川良明 <作品情報> 『聖☆おにいさんTHE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』 12月20日(金) より全国ロードショー 配給:東宝 原作:中村光「聖おにいさん」(講談社「モーニング・ツー」連載) 脚本・監督:福田雄一 出演:松山ケンイチ、染谷将太、賀来賢人、岩田剛典、勝地涼、白石麻衣、仲野太賀、神木隆之介、山本美月、桜井日奈子、川口春奈、中田青渚、吉柳咲良、田中美久、森日菜美、安斉星来、山田孝之、ムロツヨシ、佐藤二朗、窪田正孝、藤原竜也 主題歌:「ビターバカンス」Mrs. GREEN APPLE(ユニバーサルミュージック/ EMI Records) (C)中村光/講談社 (C)2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会