2025年前半に米国株が弱気相場に向かう理由は3つある…調査会社BCAリサーチが指摘(海外)
BCAリサーチのダグ・ペタによると、株価は2025年前半に急激な調整局面を迎えると考えられている。 同氏は、消費の勢いの鈍化、労働市場の軟化、高いバリュエーションなどのリスクを指摘している。 そのような状況では、株式から資金を移してディフェンシブ戦略に転換し、株価が30%以上下落したら押し目買いをすることを推奨している。 BCAリサーチ(BCA Research)によると、2025年初めには株価が調整局面を迎える可能性が高い。 同社のストラテジストらは、米国株は1月に上昇するものの、2025年上半期のある時点で20%以上下落すると予想する。そのため、投資家は守りの姿勢を取り、リスクヘッジを行うべきであるとしている。 米国チーフ投資ストラテジストのダグ・ペタ(Doug Peta)率いるアナリストらは、新型コロナパンデミック時代の政策による追い風が弱まる中、経済の減速を示すさまざまなデータに注目している。 第1に、パンデミック後に「リベンジ消費」が急増したが、その勢いが減速していることをデータが示しているという。ただし、家計はパンデミック前よりもおおむね改善している。2019年末と比較すると、株式市場が目覚ましい上昇を見せる中、アメリカ人の住宅資産と家計資産は急増しているという。 住宅資産の急増は、以前であれば住宅関連支出の増加をもたらすものだったが、最近では住宅資産の急増にもかかわらず、ホーム・デポ(Home Depot)やロウズ(Lowe's)の売上高は低迷しており、消費者向け企業はこのような支出減少に警告を発している。 一方、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)など他の大手小売業者の決算発表によると、消費者は節約志向になっており、バーゲン品を求める動きが高まっているという。 「リベンジ消費は一段落したようで、消費の勢いが鈍化したと報告する小売業者が増えている」とBCAのアナリストは12月9日のノートで述べた。 第2に、労働市場の軟化についてアナリストは指摘した。10月の雇用統計によると、求人倍率は9月に低水準から4年ぶりに上昇し、重要な4.5%(雇用市場の健全性を示す目安)を上回った。しかし、離職率は上昇、採用率は6月に記録した4年ぶりの低水準に戻った。 この「一歩進んで二歩下がる」という傾向がソフトランディングの可能性を含んでいるが、景気後退に至る軟化の兆候も示している。 アナリストはこう指摘した。 「さらなる軟化が最終的に大規模な解雇を引き起こし、雇用の縮小が支出の鈍化を招き、さらに雇用が縮小して支出の伸びがいっそう鈍化するという悪循環を引き起こすと我々は予想している。この過程が進むと、企業は裁量投資を削減し、最終的には景気後退が発生するだろう」 第3に、アナリストは歴史的に高いバリュエーションから生じるリスクが高まっていることを指摘した。S&P500は年間利益の23倍で取引されており、その値は平均を標準偏差2近く上回っている。一方で、アナリストは2025年の1株当たり利益(EPS)成長率が13%になると予測しており、これは戦後平均6.6%のほぼ倍にあたる。 アナリストによると、こうした極端なバリュエーションが、リスク資産をわずかな混乱に対しても脆弱なものにしているという。また、金融市場が景気後退の可能性を低く見積もっているため、株式はリスクの高い投資になっているとしている。 「2025年に景気後退が起こる可能性は高いと考えているが、景気後退がなくてもリスク資産は期待を裏切る可能性があり、現在の価格は将来のリターンにとって良い兆候ではない」
Kelly Cloonan