何をしているか分からない地方議員、「いてもいなくても同じ」34.9%に
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最も身近な地方議会や議員に対し、住民はどのようなイメージを持っているのでしょうか。全国地方議会の改革度を調べている早稲田大学マニフェスト研究所は、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟が実施した「地方議会は有権者にどう見られているか」調査結果を公表しています。
「何をしているかわからない」56%
調査は2014年、兵庫県議の多額な交通費請求に端を発した政務活動費不正使用問題や東京都議会のセクハラやじ騒動など、地方議会で不祥事が相次いだことをきっかけに、全国1122人の有権者を対象にインターネットで行いました。 すると、「地元の都道府県議会や市町村議会の議員についての印象」を尋ねた設問に対し、「何をしているかわからない」(56.1%)の答えが最も多く、次いで「いてもいなくても同じ」(34.9%)、「支援団体の利益を考えている」(24.7%)となり、活動が不透明という印象を抱いていることがわかりました。 また「日本の政治家や機関・団体について感じる信頼度」を聞いたところ、「大変信頼できる」を選んだのは「知事」5.6%に対し、「都道府県議」は0.7%、「市区町村の首長」6.7%で「市区町村議」0.4%と、首長よりも議員の信頼度はかなり低いという結果になりました。
議会1回あたりの平均傍聴者数、「0~5人」最多
住民側の関心のなさは、本会議や常任委員会の傍聴者の人数からも伺うことができます。同研究所の「議会改革度調査2015」によると、1回あたりの平均傍聴者数で最も多いのは「0~5人」で本会議34.0%、常任委員会92.8%。「51人以上」となると本会議も4.2%しかありませんでした。 しかし、こうした状況を変えていこうとする地方議会も増えてきています。議会が住民と直接対話する「議会報告会」などを開いている議会は、同調査に回答があった全国1410議会のうち計47.4%でした(グラフ1)。市議会(55%)が最も多く、次いで町議会(42%)、都道府県議会(34%)で区議会は17%しか開いていないなど、自治体規模で実施状況にばらつきがみられます。 また、そのうち7割以上の議会は参加しやすい日時や場所の開催、「世代別や団体別にテーマ設定」(10%)、「今後議会で扱うテーマを設定」(9%)など工夫を図っていますが、実施は「1年に1回」(65%)にとどまっている議会が多く、「報告会で出た意見を政策提言につなげる仕組みがある」ところは29%で、形式は作ったものの意見は“聞きっぱなし”で、住民主体の地方自治につなげる改革にはほど遠い議会が多数派、というのが現状です。