なぜRIZINバンタム級GP”大本命の”朝倉海がベテラン扇久保に敗れる波乱が起きたのか…右拳骨折アクシデントと公開プロポーズ
「右のプレッシャーを上手くかけられなかったのと、あとは自分からももっと早くテイクダウンに入ったらよかったんですけど。それも上手くできませんでした」 右拳の骨折を抱えた上に、扇久保の術中にはまってしまった海は潔く完敗を認めた。対照的に扇久保は、頂点に立つのは井上だ、いや海だと否が応でも聞こえてくる下馬評にも心を乱さず、愚直に作戦を実践できたことを勝因にあげた。 「僕は自分自身を信じていたし、とにかく最後まで気持ちを切らさずに戦おうと思っていた。今日は最初から2試合戦う覚悟でしたし、特にダメージもありません」 3-0の判定で決着がついた直後に迎えた2022年へ。海は捲土重来を誓った。 「まずは怪我を治してからになるので。時期というのが何とも言えないんですけど、本当にまた一からやり直すつもりで、自分がやるべきことをしっかりやっていきたい」 このバンタム級GPを制してベラトールの海外リングへ挑戦する計画も白紙に戻った。堀口に続き、もう一人リベンジを果たさねばならない相手が増えた。RIZINの舞台で、その挑戦権を得る実績をもう一度、作らねばならない。 一方、歓喜に浸る扇久保は「おせち料理が食べたいですね」と、京香さんがふるう手料理を思い浮かべて相好を崩しながら、ある男の名前をあげて表情を引き締めた。 「僕にはリベンジしなければいけない相手がもう一人いるので」 ターゲットは2018年7月の「RIZIN.11」で大熱戦を演じながら判定で敗れた堀口恭司だ。ベラトールのバンタム級タイトル戦で衝撃のKO負けを喫した堀口だが、今年はベラトールのバンタム級GPへの参戦が決まっており、扇久保が堀口の対戦相手に割り込むチャンスは、そう多くない。だが、RIZINバンタム級トーナメント覇者として挑戦資格はあるだろう。四角いリングの上だけでしか取り戻せないプライドを求めて、男たちが火花を散らす新たな年が幕を開けた。