「泣く泣くフォローを外しました」フォロー解除呼びかけで「フォロワー激減」の松山ケンイチ。映画の宣伝につなげる、天才的な手法かも?
たとえば、もし今回と同じような状況であっても、これが「キャストを使ったプロモーション」として企業側が仕掛けた施策であったならば、また見え方が違うはずだ。 昨今のSNS環境では、自分と似た価値観や考え方に基づく情報ばかりが集まり、思考が極端化してしまう「エコーチェンバー現象」のリスクが指摘されることもある。 しかし、今回のような娯楽的な内容であれば、頻出したところで特に害はない。松山は、自身のアカウントのフォロワー数が減ったことを喜びながら、それと同じ規模感の自治体の宣伝をしているだけなのだから。
そういう意味でも、シンプルなようで実は奥が深い、多方面から意表をついた企画なのである。 ■松山ケンイチ流SNS運用、天然か天才か そもそも、松山自身に「自然体で、打算がなさそう」なイメージがあって、ネットユーザーも特に邪推せずポストを拡散したところも大きいだろう。 ちなみに彼は、今回の「フォロー解除祈願」ポストを始める前日まで、NHK連続テレビ小説『虎に翼』の感想を連日Xで書き連ね、そのマメで意欲的なドラマ実況で話題を呼んでいた。
意外にも放送期間中に朝ドラを見ていなかったという松山は、主演を務めた俳優・伊藤沙莉に勧められたことをきっかけに、ドラマを見ながら毎話の感想投稿を開始。登場人物に独特なあだ名をつけたり、時たま撮影中の裏話を挟み込んだりと、自由な感想で『虎に翼』ロスの視聴者を楽しませた。 しかも、「いくらなんでも毎回感想を書くのは、大変な労力なんじゃ……」というフォロワーの心配をよそに、全130話の朝ドラマラソンをおよそ2週間の短期間で完走したのには驚きだ。
なんと松山はこの目を見張る“継続力”を、今回の「フォロー解除祈願」においても見せている。投稿は1日限りではなく、定期的な呼びかけを繰り返し、そのたびにフォロワー数の経過を報告。松山ケンイチは本気のようだ。 一体彼はどこに熱意を傾けているのか、映画の宣伝に寄与するねらいはどの程度あったのか……疑問はいろいろと浮かんでくるが、独自のセンスで走り続けるその様子をこれからも見逃せない。映画『聖☆おにいさん THE MOVIE』が公開するまでに果たしてフォロワー数はどこまで減少するのか、今後もつい気にしてしまいそうだ。
白川 穂先 :エンタメコラムニスト/文筆家