「泣く泣くフォローを外しました」フォロー解除呼びかけで「フォロワー激減」の松山ケンイチ。映画の宣伝につなげる、天才的な手法かも?
通常映画の宣伝であれば、作品の認知度を上げるべく公式SNSの「フォロワー数を増やす」ためにプロモーションを展開する。しかし今回、松山が取った行動はその逆だ。「フォロワー数を減らす」ことで多くのXユーザーを巻き込み、その現象自体をエンタメ化して宣伝に誘導している。キャストが自ら呼びかけるからこそ成立したこの手法は、SNSの定説を逆手に取った斬新さがある。 松山の「フォロワーが減る」事実は一見マイナスに思えるが、実はそこまで痛手ではない、という見方もできる。たとえば、フォロワーが減ってもアカウントに蓄積された「いいね」「リポスト」数は減らないため、その数字はエンゲージメントの評価に加味される。
加えて現在のXには「おすすめ」機能があるため、ユーザーと関連性が高いポストや「いいね」「リポスト」を集めた反響が大きい人気ポストは、フォロー外であってもタイムラインに浮上するのだ。 おそらく、フォロー解除後も松山の投稿を目にしたというユーザーは少なくないだろう。映画公開後には通常どおりフォロワー増加が予想されることもあり、意外と影響力が無になるわけではないのである。 また、松山の「フォロー解除祈願」投稿を契機に、映画公式アカウントのフォロワーが急増した流れも興味深い。今回のプロモーションがうまくいったのは、ユーザーの能動性を引き出したことにも関連するのではないだろうか。
■フォロー・リポストを求める施策の弱点も克服 たとえば、映画に限らず、企業の広告などでも「公式SNSアカウントをフォロー・リポストすると懸賞に応募できる」といった類のフォローを促すキャンペーンは多い。 このようなプロモーション手法は、抵抗を感じないユーザーであれば問題ないのだが、一方で「企業側の都合に付き合わされている」印象が生まれやすいのも事実だろう。 対して今回のケースは、松山個人の「こうなったらおもしろいんじゃないか?」という実験的な思いつきから始まっているのがポイントだ。それゆえに、SNS上でも「おもしろネタに乗っかろう」という空気が自然と醸成された。映画公式からの誘導はあったにせよ、「やらされ」感というよりは好意的に公式アカウントをフォローする流れが生まれていたと感じる。