「26歳で初めて生理が」元フィギュア・高橋成美 世界選手権後に大けがもソチ五輪出場を果たして
今はまったく違うのですが、当時はコーチ陣にもまだ体重に関しての知識がなかったので、あいまいに「軽いほうが飛べるし、ペアの場合は持ち上げられるんだからなおさら軽いほうがいい」とか「この体重のときは調子がよかったね」とか、調子が悪いときは「太ったんじゃない?じゃあ減らしなさい」と言われるような感じだったんです。私の場合は中国にいた9歳のころからコーチに体重を管理されていて、500グラム増えると500グラム減るまで走ることが当たり前だったので、練習でせっかく減らしたのに食べるのがもったいないという思考になってしまっていて。少食だったので、母が少しの食事でも栄養がたくさん摂れるようなメニューを作ってくれていました。
── 減量によって生理が来ないこともありましたか? 高橋さん:そもそも、来たことがなかったです。周りの選手は一定の体脂肪率を超えたタイミングで生理が来て、体重をしぼって止まったりすることがあるようなのですが、私は成長が遅いうえに、ずっと食べるのがもったいないという思考だったので、体脂肪率が超えることもなくて。もちろん、お医者さんはよくないことだとおっしゃるのですが、私自身は毎日調子がよかったですし、みんなからも「いいよねー。来てなくて」と言われていたので、「やっぱりそうなんだ。来たらつらいんだ」と思っていて。生理は来ないほうがいいと考えていたのが正直なところです。
母はお医者さんから「骨粗しょう症になったり、将来子どもが産めなくなったりするかもしれない」というお話を聞いていたので、ものすごく心配していました。でも、当時の私は「生理が来ないことは恵まれている。つらくもないのに、なんでそんなこと言うの?私は今スケートがうまければ、将来はどうなってもいいのに」と思っていました。 引退後の2018年に、初めて生理が来ました。スケートを辞めてから冷静になってみると、選手時代が終わってしまって、残されたのは選手ではない人生しかないので、来てよかったなと思うようになりました。ただ、身体が重く感じるようなこの感覚で当時の練習をやろうと思うとできないなとも感じるので、みんなが「来てなくていいよね」と言っていた気持ちもわかって、少し複雑ですね。