「豊かな繋がりがあるから、貧しくない」 他の国では得られないアフリカのエネルギー
大地を踏んだ瞬間にビリッと感じる人、この指止まれ
奥祐斉:去年、ブラジル、アメリカ、インドとか色々行って来たんですけど、やっぱりアフリカに行く前が凄く高揚するんですよね。わかりますか?この気持ち。 坂田ミギー:わかります(笑)。 奥祐斉:なんなんですかね、あの気持ち。ドキドキもするし、ちょっと不安にもなるし、だけど、圧倒的に楽しくて、寝れないな~みたいな、小学生の時の自分に戻るような感覚。 坂田ミギー:確かに他のエリアにはないですね。 奥祐斉:毎日ワクワクしちゃって。例えるなら、運動会の前日。いやぁ~勝てるかな~みたいな。そういう感覚です。 坂田ミギー:アハハハハ。その気持ちはわかります。あまり共感してもらえていないんですけど。飛行機から降りてケニアに降り立つ時に、大地を踏んだ瞬間にちょっと“ビリッ”ときたんですよね。 奥祐斉:めっちゃわかります。アフリカの匂いとか、熱風とか、“ムワッ”とするあの感覚。タイとか東南アジアとも違うんですよね。アフリカは、何かが違う。 坂田ミギー:言葉では表現できない、特殊なエネルギーがありますよね。 奥祐斉:あるある、絶対ありますね!アフリカって、またすぐにでも行きたくなりますもん。あのエネルギーは何なんですかね?いつも元気をもらえるし。 坂田ミギー:他のエリアでは得られないエネルギーが、アフリカにはありますね。 奥祐斉:みんなに、それを体感してもらいたいんですよね。僕は、その強い思いが、アフリカを伝える原動力になっています。 坂田ミギー:とても理解できました。皆さんにも経験してほしいですよね。 奥祐斉:僕は、アフリカの入口に立ってもらうきっかけをつくることが役割だと思っていて。だからこそ、ミギーさんもそうですけど、そういう方を色々紹介していきたいなと思っています。
豊かな繋がりこそが、最高で最強!
奥祐斉:連載のテーマでもあるんですが、ゲストの方が感じる「アフリ観(アフリカン)」というのを聞いてみたいと思っています。僕は、「アフリ観」の「カン」を「観る」という言葉に置き換えて活動していて、過去には「アフリ観ラジオ」っていうのもやってたんです。 僕は、最初は旅を通してアフリカに出会いましたが、JICAをはじめいろんな活動の中で感じたことがあります。それは、アフリカに救われたことの方が圧倒的に多くて、自分は何もできてないということです。 ニジェールの村づくりにも関わっていたんですが、結局成長させてもらっているのは、いつも僕だったし。世の中のためとかかっこいいことを言っていても、アフリカに出会うと、結局は自分にそれ以上のものが返ってくることが多いんですよね。多分、ミギーさんもそう感じているのかな?と思うし、日本の人に届けたい価値観などあれば、伺ってみたいなと思いました。 坂田ミギー:いっぱいありますね。奥さんが言ったことも、とても共感できます。私も、自分たちの方が立場が上だとか、助けてあげるとか、そういう「あげる」的な感覚はなくて。本当に、いつも助けてもらってるのも私だし、成長させてもらってるのも私だし、何かを得ているものが多いのは自分の方だなと感じています。 奥祐斉:本当にそうですよね。わかります。 坂田ミギー:アフリカでの印象的なエピソードだと、ケニア東海岸の民族ドゥルマの村を訪ねた時のことですね。この村では、それこそ太鼓を叩いて精霊と会話しているんです。偉大な白魔術師が亡くなられたので、約40日間の慰霊祭が行われていました。その慰霊祭の最後の3日間にお邪魔させてもらいました。驚きしかなかったので、どの部分を話すのが良いか迷うんですけど、慰霊祭の最後にマテラ長老が私たち客人に対して話してくれた内容が印象的で。 ドゥルマの住むこの村には、過去にも訪れたことがあったんです。このとき10年ぶりに行ったんですが、明らかに前回の訪問時よりも貧しくなっている。厳しい状況なのはよくわかりました。でも、そのとき長老が話したのは、「私たちは経済的な指標で見ると貧しいかもしれない。けれど、私たちには豊かな繋がりがあるから、貧しくはないのです」という言葉だったんですよね。 慰霊祭には、遠方の村や森からも駆けつけてくれる人々もたくさんいます。いろんな民族の人たちが、亡くなった呪術師“ママカブンビ”の慰霊のために集まっていました。困ったときに助け合う、よろこびを分かち合う。そんな豊かな繋がりがあるから、私たちは貧しくないし、幸せに生きていけるという話をされました。我々は、便利であるとか、物質的な豊かさとか、そういったものを大事にしすぎてきたかもしれない。繋がりの豊かさを、軽視していたと考えさせられたんです。「人と人との繋がり?少し面倒だな」とか、そういう風に考えていた時期だったのでハッとさせられて、ずっと心に残っていることの1つですね。 私が伝えたい「アフリ観(アフリカン)」はここですね。 奥祐斉:ありがとうございます。凄く素敵な話ですね。アフリカの村に行くと、井戸が壊れたら絶対に1人では治せないから、みんなで直さなきゃいけない。水が飲めないって、命にも直結するし。だから、そういう繋がりを大事にするのが当たり前ですよね。日本だと、ついつい1人で生きているような錯覚に陥りますけど。スーパーに行けば野菜が売っているのが当たり前じゃなくて、野菜を育ててくれる人がいるから僕たちも生きていける。アフリカの人たちは、いろんなことに感謝をする気持ちが当たり前にあったり、繋がりに長けているなっていうのは、僕も思いました。 坂田ミギー:全ては繋がって成り立っているのに、私たちはその繋がりを雑に扱いすぎているところがあるかもしれないですね。私は、あの時まではそうだったなと思いますね。 奥祐斉:日本では、核家族も増えてきて、誰にも頼れなかったり、頼れる人が近くにいない人もたくさんいると思うんですよね。いや、確かに豊かな繋がりって考えさせられますね。