鵜様不在、吉凶占えず 地震で崖崩落が影響 羽咋・気多大社「鵜祭」の主役
16日未明に羽咋市の気多大社で営まれる国重要無形民俗文化財「鵜祭(うまつり)」の主役となるウミウ「鵜様(うさま)」が、今年は捕獲できず、鵜様の動きで新年の吉凶を占う神事は2年ぶりに中止となった。近年の温暖化による生息環境の変化に加え、能登半島地震で捕獲場所の崖が崩落したことが響いたという。2012年以降、捕獲できなかった年は7回となり、捕獲できた年の6回を上回り、関係者は伝統をつなげる難しさを痛感している。 鵜捕(うとり)主任の小西寛之さん(62)=七尾市鵜浦町=によると、捕獲場所となる鵜浦町の崖は、元日の地震でウミウが羽を休める「たまり場」が崩れた。小西さんは「(期限となる)14日午前は飛んでいるウミウの姿を見られたのに捕獲できず残念だ。伝統を守る難しさを実感した」と悔しそうに話した。 小西さんは14日昼、鵜様の運び役を務める「鵜捕部(うとりべ)」の横川良栄さん(75)方に鵜様がいない空のかごを届けた。横川さんは「寒い中、捕獲に懸命に取り組んだ寛之さん、達矢さん親子にご苦労さまと伝えた」と語った。 鵜様を気多大社まで2泊3日で運ぶ「鵜様道中」で、今年初めて「鵜様の宿」を務める予定だった「石政旅館」(七尾市相生町)の石(せき)八重子大(おお)女将(おかみ)(76)は「鵜様を受け入れる準備を進めていたので残念。来年こそお迎えしたい」と話した。 ●15日奉告祭で伝え 15日に捕獲できなかったことを伝える「奉告祭」が気多大社で執り行われる。三井孝秀宮司は「自然相手なので仕方がない」と述べた。