西九州新幹線の開通で長崎市にホテル進出続々、稼働率好調…「修道院の建物活用」「スタジアムと一体」
西九州新幹線の開通を機に、長崎市にホテルの進出が相次いでいる。不動産開発の森トラストは13日、高級ホテル「インディゴ長崎グラバーストリート」を開業する。今年に入って主なホテルの開業は3件目で、宿泊客の争奪戦が激しくなりそうだ。(橋本龍二) 【写真】「長崎マリオットホテル」JR長崎駅の新駅ビルにオープン…西九州新幹線との相乗効果期待
インディゴは英大手のインターコンチネンタルホテルズのブランドで、日本では5か所目、九州には初進出となる。19世紀末に修道院として建てられた赤レンガ造りの建物を活用し、森トラストグループがフランチャイズで運営する。11日には報道陣に先行公開され、ロビーや客室は中国、オランダの文化も感じられるタイルや置物などで独特の雰囲気が漂っていた。レストランは聖堂だった場所を改修して利用する。66室を備え、宿泊料は1人1泊3万2000円台から。宿泊者に占める訪日客の割合は2~3割を目指す。
2022年9月の西九州新幹線武雄温泉―長崎間の開通後、長崎市ではホテルの開業が相次いでいる。今年だけでも1月に長崎駅に隣接する長崎マリオットホテル(207室)が、10月にサッカースタジアムや商業施設などと一体になったスタジアムシティホテル長崎(243室)が、それぞれ開業した。
国によると、長崎県内の宿泊施設の客室数は西九州新幹線が開業した22年度に約20年ぶりに2万2000室を超えた。長崎市内の稼働率は好調で、九州経済調査協会が公表した11月の「宿泊稼働指数」は71・7と全国平均(67・5)を上回る。100に近いほど空室が少ない。
今後は需要をいかに維持、拡大するかが課題だ。観光業に詳しい長崎国際大の落合和昭准教授は、新幹線で訪れる観光客が増えていることを踏まえ、「鉄道駅から観光地までの交通手段の充実が求められる。県内に多い離島を船で巡る観光ルートの開発なども考えられるのではないか」と指摘している。