IT現場で「シニア人材」が期待され始めている納得理由、ポイントは「COBOL言語」
IT人材の活用が「明らかに活発化」
DXの位置付けと取り組みの経年変化を見ると、「デジタル戦略を専属で担う役員(CDO)が任命されている」の2024年の数値が2023年比1ポイント増の27%、「デジタル戦略遂行のための人材配備を行っている」は2023年比2ポイント増の37%だった。これらから、「DX推進の体制・プロセス整備はやや強化される」傾向にあることが読み取れる。 さらに深掘りして、総従業員数に占めるIT人員比率の経年変化を見てみると、2024年は6.7%となり前年の6.1%から0.6ポイント上がっている。2025年度計画ではさらに0.3ポイント高い、7.0%を見通す。 ITRでは「コロナ禍では人員を増やせなかったが、コロナ禍を脱して競争力強化に欠かせないIT人材を積極的に採用する流れになりつつある。IT部門正社員、子会社社員、ユーザー部門ITスタッフなど全IT人材で人員を拡充させる動きが活発化している」との見解を示す。
「シニア人材」に期待が高まるワケ
興味深い結果が出たのは「デジタル戦略遂行のための人材配備策」に関する調査だ。今回から、新たな選択肢として「定年後や再雇用者などのシニア人材活用」を追加。シニア人材の活用に関する声が実際に聞かれていたことを反映させたという。 その結果、11%となった。まだ新しい選択肢であることなどから決して高くない数値ではあるが、「副業、ギグワークなどでの人材調達」(7%)を上回っている点には注目だ。 「AI活用などに取り組まなければ競争力が劣るといった考えから、自社(内部)IT人材の採用を加速させる傾向にある。またシニア人材の活用は、副業やギグワーカーなどで人材を配備するよりも現実的な選択肢として考えられているのではないか」(ITR) さらにITRによれば、メインフレームからオープンシステムへの移行を進めている企業から、「まだプログラミング言語のCOBOLを扱える人材が必要なのだが、新卒・中途採用者に未経験のCOBOLを覚えさせるのは得策ではない」「メインフレームの設計仕様の背景への理解や運用経験、COBOL言語を習得している点など、(豊富な知識や経験を有していることから)再雇用したい」などの声が上がっていると説明した。 依然としてCOBOLを扱うシーンが見られることや、豊富な知識・経験を有する点を踏まえて、シニア人材の活用は今後さらなる期待が高まると予想される。ITRでは今後も同様の選択肢を盛り込む方針であることから、シニア人材の活用に関する経年変化に注目だ。
構成:編集部 井内 亨、執筆:翁長 潤