【バイデン撤退の予測的中!】神聖化するトランプに、ハリスはどう対抗するのか?
7月13日に東部ペンシルベニア州で発生した暗殺未遂事件後、共和党大統領候補に指名されたドナルド・トランプ前大統領は、演説の中で「神」について語るようになった。その理由には、一体何があるのか。また、選挙戦と神はどのように関係するのだろうか。さらに、バイデン大統領の撤退という異例の事態の中で、後継者になるとみられるカマラ・ハリス副大統領には、どのような対抗策があるのだろうか? まずは、今回の共和党全国大会からみていこう。
MAGA全国大会
7月15日から18日まで中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党全国大会で、「共和党が一丸」となったという評価がある。しかし、マイク・ペンス前副大統領、ポール・ライアン元下院議長、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ディック・チェイニー元副大統領、2012年共和党大統領候補であったミット・ロムニー上院議員等の重鎮や穏健派は、今大会に参加しなかった。トランプ前大統領のMAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大にする)運動を支持する党員による大会であったのだ。言い換えれば、「MAGA全国大会」とみられても当然だ。 MAGA運動を支持する共和党員には、「米国は国内問題に焦点を当てて、世界の出来事における米国の役割を減少させるべきである」という考えが強い。ちなみに、米公共ラジオ、公共放送およびマリスト大学(東部ニューヨーク州)の共同世論調査(23年11月6~9日実施)では、前回の大統領選挙でトランプ氏に投票した有権者の57%が、上の声明に賛成を示した。とういことは、孤立主義者の集まりであったとも見ることができる。 米有力紙ワシントン・ポストによれば、2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件に加わった活動家が、今大会に複数名参加していた。さらに、2020年米大統領選挙において西部ネバダ州で、トランプ氏が勝利したと誤った主張をした「偽選挙人」の一人である同州の共和党委員長マイケル・マクドナルド氏が、代議員として参加していた。マクドナルド氏は検察官によって起訴されたが、24年6月ネバダ州クラーク郡地方裁判所のメアリー・ケイ・ホルサス裁判官によって訴訟は却下された。 しかし、上記の事実を含めて角度を変えてこの大会をみると、米連邦議会議事堂襲撃事件という政治的暴力の容認と今回の米大統領選挙の結果を覆すという陰謀論を全面的に否定しない大会であったと言える。