市場問題PTが8回目の会合(全文1)第1次報告書の素案の課題を説明
豊洲市場のポイント
まず卸売市場のあり方でございます。豊洲市場のポイントですけれども、公共事業。役所の仕事は計画から建設の間にすごく時間がかかります。その間に世の中が変わってしまって、出来上がったころにはその施設が世の中にマッチングしていないということが、よくあります。この議論でいきますと少子高齢化、食糧需要の減少、魚を食べる習慣の減少。それから市場の外での取引ルートが増えてきたと。で、その結果、市場の取引数量が減り、市場の役割が低下してきたということが挙げられます。 で、これに対応するように総務省、旧自治省ですね、あるいは農林水産省がこういう変化への対応として経営戦略を作りましょうと、品質を向上しましょうという対応戦略を確立しています。で、豊洲市場でまいりますと、こういう世の中が変化していくにもかかわらず、この変化にキャッチアップしない、結論として経営戦略がない巨大市場が出来上がってしまった。さあこれをどうするかと、こういう課題だと。 これを数字でいきますが、築地市場、今の築地市場ですが、平成元年から平成27年の間に取引量が40%から50%減っています。で、だいたいの半分の規模、半分強の規模になっているということがあります。この取り取扱量が半分になったのに、なぜ依然として築地市場が狭いのか、自動車が減らないのか、なぜ40ヘクタールの用地が必要だったのかというような疑問が今の段階ではあります。 で、先ほど市場は法律に守られている。それは民間の市場に比べると、民間が経営するとか、あるいは流通に比べるととても安い使用料で提供されている、こういうことだろうと思います。で、先ほどのように総務省、農水省は地方公営企業についても経営戦略をしなきゃ、作らなきゃいけないということで、今の課題は経営戦略のないままつくってしまった巨大な豊洲市場というのをどう考えるかということでございます。 で、なぜ卸売市場は公の施設なのかと。なぜ法律で守られているのかというのに3つあります。価格形成機能、集荷、分荷、それから情報発信機能、代金決済機能というふうにいわれております。データで見ていきますと少子高齢化によって食料需要が減っている、魚の食べるのが減っているというデータでございます。これが少子であり高齢化率ですね。で、食料に支出するのが90年、32%、2015年は21%。10%減っているというようなのがあり、さらにこの食料支出の割合が減ってくるというのが農水省の予測です。 次、お願いします。そのうちお魚はどのくらい食べるだろうかと、これも農水省の予測でありますけれども、お魚、ピンクですね。お魚はどんどん減っている。9.4%、8%、2025年には7.2%ということで、需要そのものが減っている、これが全体の予測でございます。で、市場を通さない流通ルートの拡大。市場は生産者、出荷者、卸売業者、仲卸、買参、買出人、小売、消費者と。こういうことでございますけれども、この市場に対応する競争者が大きく伸びています。1つはスーパー等が直に、市場を介さないで仕入れると。もう1つはインターネット、通信販売の産地直送というもので、市場を通さない流通ルートが大きく伸びていると。 これを市場の取引数量の減少、市場の役割の低下というものを全国的に見てまいりますと、平成元年、平成5年からこう出していますけれども、水産で言えば卸売市場を通したのが74.6%、これが平成元年。で、これが半分に、半分っていうか全体の54.1%っていうふうになっています。青果はかなり高いですね。82.7%、これが60%。括弧が中央卸売市場ですね。で、金額をいきますと、これは平成5年の金額と平成26年の金額がございましたので、これを比較すると、金額で言うと半分に減っていると。こっちは7割弱ということで青果は頑張っているということが金額面では言えると思います。これが全体の市場を取り巻く状況であります。 ということで、今、政府のほうでは農協改革とかいろいろございますけれども、いわゆる規制改革の中で、本当に卸売市場が要るのかという議論があります。平成28年の10月の会合の方向と、具体的方向というものでは、特に卸売市場については、これは食糧不足時代の公平分配機能から、だからやっていたんだと。だから今はその役割が小さくなっていて、種々のタイプが存在する物流拠点の1つ、つまり競争の中における1つだと。そういう意味では卸売市場法という特別の法制度に基づく時代遅れの規制は廃止するべきだという議論があります。 これに対して農林水産省ですが、こういう議論が政府の中でなされている中、第10次卸売市場の整備基本方針では、いや、卸売市場は引き続き国民へ安定的に生鮮食料品等を供給する使命を果たす。しかしそういう規制改革会議の議論もありますので、今までのように安閑としていてはいけないということで、経営戦略をちゃんと作りましょうと。で、客観的な評価、将来の事業予測を含めて、市場の整備の考え方、コスト管理も含めた市場運営の方針を明確にした経営展望をちゃんと作って、競争社会で理解を得るようにしましょうと。こういう方針になっています。 地方公営企業を所管する総務省、旧自治省ですけれども、将来にどのくらいお金が掛かるのか。あるいは更新を行うためにどのくらいの額が必要なのか。これはこの市場PTでやってきたライフサイクルアセスメント、ライフサイクルコストというようなものですが、そういうお金を全部出していって、投資計画、財政計画というのを作って、しっかりした経営をしましょうというふうに言っております。