西武 黄金期式調整法は成功するか?
西武の伊原春樹監督は、ユニークなチーム調整法にチャレンジしている。例年に比べて調整のペースを約2週間ほど遅らせているのだ。キャンプの第1クールは、フリー打撃もせずに走りこみを中心にした土台作りを行い、紅白戦もたった1試合で、それも終盤の2月20日。中村剛也(左脇腹)、栗山巧(左足)が故障で出遅れているが、元々彼らのオープン戦参加予定も、例年よりかなり余裕を持たせてあった。 これらは伊原監督がコーチとして参加していた80年代から90年代にかけて9年間で、8度パ・リーグを制したライオンズ黄金期のスタイルでもある。現在、西武のオープン戦成績(3月13日終了)は、2勝6敗1分、打率は.227、防御率は4.04と悪いが、それも、ある意味計算づくとも言える。嵐の前の静けさだ。 伊原監督は、黄金期スタイルの調整方法を決断した理由を2つ語っていた。ひとつはチームコンディションを開幕へピークに持っていく点。「早めに作ってオープン戦で好調でも、疲れが出て一度、落ちて開幕にはピークに来ない。開幕に100パーセントの状態にするため、約2週間遅らせている」 もうひとつは開幕スタメンを含めたレギュラーの顔ぶれがほぼ固定されている点だ。「うちは、1番から9番までレギュラーがほぼ決まっているので調整に重きをおけます。2番ライトのポジションだけは、熊代、木村、斉藤らが競争の中で勝ち取らねばならないですが。浅村のセカンドコンバートがうまくいっています。不安はありません。去年は4番として、かなりの負担があったと思いますが、今年は、3番・浅村、4番・中村でいきます。新外国人のランサムは38歳ですが、身体能力が高く、サードの守備も安定しています。ヤンキースで松井秀喜と共に世界一になったメンバー。そういう経験は生かしてもらえるし、5番DH・坂田、6番・ランサムの並びを考えています、人的補償で獲得した脇谷もオールラウンドプレーヤーでサードもできます」