北朝鮮、処理水巡り韓国で反日扇動…スパイ組織に指令「日韓対立を取り返しつかない状況に追い込め」
実際に韓国ではこの頃から市民団体による抗議活動が活発化し、21年7月の東京夏季五輪開会式を前に市民団体などが処理水放出に反対するデモを連日行った。
日本政府が19年7月に元徴用工訴訟問題への対応を巡る文政権への事実上の対抗措置として対韓輸出管理強化に踏み切った際にも、北朝鮮は大使館への抗議活動などを指示した。
指令文の内訳は、反日活動を含む「反保守、反米、反日」活動の指令が34件で、全体の38%を占めた。続いて多かったのは韓国の大統領選や総選挙、労組活動に関する指示で17件。スパイ組織運営に関する指示も8件あった。報告文では、20年4月の韓国国会の総選挙で当選した議員全員の携帯電話番号を提供したものもあった。
1審で有罪となった労組幹部の男らは、いずれも控訴している。
◆文化交流局=北朝鮮の朝鮮労働党で対韓国政策を統括する「統一戦線部」傘下で、韓国内でのスパイ網構築と協力者育成を主な任務とする工作機関。「対外連絡部」「225局」などと名称変更を繰り返してきた。韓国政府は、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党総書記が2023年末に南北平和統一路線の放棄を表明したことを受け、統一戦線部の名称が「10局」に変更されたと分析している。