【チャンピオンズC】レモンポップら前走交流重賞組の古馬優勢 新星セラフィックコールに立ちはだかる壁あり
JpnⅠ組との力関係
ここからは前走成績を中心に各馬を分析していく。ダートは地方も含め路線が多様であり、この時期だと前走が地方だった馬の方が総じてレベルが高いことが多い。この辺もダートGⅠならではの難しさだ。 前走クラスではなく、レース別にみてみよう。JBCクラシック【4-3-2-29】勝率10.5%、複勝率23.7%、マイルCS南部杯【2-2-1-6】勝率18.2%、複勝率45.5%が大半を占め、前走地方交流GⅠ組が一枚上手という年が多い。 JRAだとシリウスS【1-0-0-6】勝率、複勝率14.3%、みやこS【0-2-4-27】複勝率18.2%、武蔵野S【0-2-0-24】複勝率7.7%と前哨戦はそこまで機能していない。やはりGⅠ級はJRAのGⅢではなく、交流GⅠへ回る。そのため、その下のレベルで競う前哨戦は好走馬を出せない。 セラフィックコールは5連勝ではあるが、最上位クラスとの対戦は今回が初となる。いや、すでにそのレベルの力を持っていると評価するか、まだそこまでではないと踏むか。この辺は競馬観の違いだろう。データを信用するなら、ここは壁にはね返されても不思議ではない。 JBCクラシックからは勝ったキングズソードこそいないが、ノットゥルノ以下2~6着がそろって出走予定。JBCは持ち回り開催なので、前走競馬場は毎年変わる。大井JBCは【1-0-1-10】勝率8.3%、複勝率16.7%とそこまで好走馬が出ていない。盛岡や川崎開催時がいいので、左回りが影響しているのか。大井の外回りはなにせ直線が長く、ダートコースとしてはそれなりにスケールがある。力勝負になりやすいコースがイマイチなのは、なぜだろうか。 JBCクラシックの着順内訳をみると、1、2着【0-2-1-11】より3、4着【4-1-1-6】と惜敗馬の成績がいい。勝負圏内にやや入り切れなかった分、消耗も抑えられるということか。このデータからはテーオーケインズ、メイショウハリオがあがる。 前者は2年前に同じローテで4→1着、昨年は1→4着だった。年齢別でも6歳はむしろ好材料で、もうひと花あっていい。 メイショウハリオは帝王賞を連覇した猛者だ。JRAダートは今年のフェブラリーS3着以来になる。東京マイルより前進があっていい。このレースはテーオーケインズが勝った2年前7着だったが、その前走はみやこS1着だった。経験と実績、ローテを味方にJRAのGⅠタイトルをつかみたい。 マイルCS南部杯は勝ったレモンポップと9着ジオグリフが該当する。ここは勝ち馬【1-0-0-1】で18年ルヴァンスレーヴが3歳で勝った。JDDで大井の2000mを経験しており、中距離通用の根拠はあった。 レモンポップはハンデが重かったシリウスSを回避し、マイルへ向かった。中距離を試していないのがどう出るか。父のキングマンボ系レモンドロップキッドは産駒に芝12ハロンのカナディアンインターナショナルSや、ダート9ハロンのケンタッキーオークスの勝ち馬がいる。キングマンボ系らしい万能型であり、レモンポップが適応する下地はある。 また南部杯は6~9着【0-1-1-1】でワンターンのマイル戦が合わなかった馬も巻き返す。皐月賞馬ジオグリフにとって距離延長は反撃の合図になる。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳