「聞いてるふり」は通じない? 集中しない生徒をリアルタイムで把握 教員からは期待、「管理強化」に懸念も
「よく切れる包丁」どう使うか
最後に有識者に見解を尋ねた。先端技術を活用した教育を推進する東京工業大の赤堀侃司名誉教授(教育工学)は「ものすごく大きいインパクト」と賛辞を惜しまない。 今や小中学生が1人1台のデジタル端末を扱う時代。政府は、子どもに関するデータを広く収集し、教育に生かそうと本腰を入れ始めている。しかし、赤堀氏によると、現状では学習記録を基に苦手分野を復習させるような事例が中心で、新技術の導入に消極的な学校も多い。それだけに期待は大きい。「生徒に集中度のデータを見せ、授業を振り返らせたら、もっといい。生徒の意識が変わるはず」 一方、元文部科学省官僚で星槎大大学院の寺脇研客員教授(教育行政)は「内面をのぞくようなもので、抵抗を感じる人は多いだろう」と話す。影響は生徒ばかりか教員にも及ぶと指摘する。「包丁のようなもので、どう使うかが大事。管理目的ではなく、学習者のための使い方を探るのが大切だ」 システム開発者の高山さんも、世の中にすんなり受け入れられるとは考えていない。 「1カ月に1回といったところから始めたらいいのでは。あくまでも道具ですから。ものすごく切れる包丁かもしれないけれど」 ※この記事は、共同通信とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
共同通信