ド・クォン氏とテラフォーム・ラボに53億ドルの罰金を科すべき──SECが裁判で求める
米証券取引委員会(SEC)は、2022年に起きたテラ(Terra)エコシステムの400億ドル(約6兆2000億円、1ドル155円換算)規模の崩壊に関与したとして、暗号資産(仮想通貨)発行会社テラフォーム・ラボ(Terraform Labs)と共同創設者のド・クォン(Do Kwon)氏に53億ドル(約8215億円)の罰金を科すようニューヨークの裁判所に求めた。
TerraUSDで投資家を誤解させた
テラフォーム・ラボとクォン氏は今月これ以前に、民事の詐欺罪で責任を認められた。この裁判で陪審員は、テラフォーム・ラボのいわゆる「アルゴリズム」ステーブルコインであるTerraUSD(UST)の安定性と、テラブロックチェーンのユースケースをめぐり投資家を誤解させたと結論付けた。 この判断の2週間後に提出された、最終判決を求めるSECの申し立ての中で、SECはテラフォーム・ラボとクォン氏に対し、不当利得の返還と判決前の利息の47億4000万ドルに加え、民事の罰金として総額5億2000万ドルを支払うよう求めている。後者の内訳は、テラフォーム・ラボから4億2000万ドルとクォン氏個人から1億ドル。 SECは付随する法的見解書で、テラフォーム・ラボとクォン氏が「違法行為により不当に得た利益は40億ドル以上(それ以上である可能性が高い)」だとして、裁判で求めた総額の根拠を説明した。 裁判文書によると、機関投資家へのテラ(LUNA)とミラープロトコル(MIR)の売上はそれぞれ総額6520万ドル、430万ドルであり、ルナ財団ガード(LFG:Luna Foundation Guard)を通じたテラとTerraUSDの売上は総額18億ドルだった。また、投資家は2021年6月から2022年5月にかけてさまざまな暗号資産取引プラットフォームでTerraUSDを23億ドル購入した。 SECは、この罰金額はテラフォーム・ラボとクォン氏の「不当に得た利益」の「控えめ」だが「合理的な概算」だと主張した。