注目の新スポットにいよちゃんが登場!デジタルとリアルをかけ合わせて熱を生む、ハオハオチーの戦略
2024年4月にオープンした東急プラザ原宿「ハラカド」。「新しい体験価値を享受できる場所として『商業施設』ではなく、『創造施設』を目指す」とし、クリエイターの共創を促すラウンジや雑誌ライブラリーなどの体験型施設をはじめとした個性豊かなテナントが集合。原宿の新たなランドマークとして注目を集めている。 【画像】ハオハオチーとのイベントで誕生したいよちゃんの新キャラ、チェ・ミン。イベントではオリジナルグッズを販売する その「ハラカド」の6階にあるのが中華ダイニング「ハオハオチー(好好吃)」。TikTokを中心としたSNSマーケティング事業やプロダクション事業を展開する株式会社Leading Communicationと、飲食店コンサルティング事業を担う株式会社Be aliveがタッグを組み、「“デジタル×リアル”を体現する新しい飲食店」として誕生した。6月29日(土)にはSNS総フォロワー数150万人を誇る“いよちゃん”の一日店長イベントを開催予定だという。飲食店における“デジタル×リアル”とは何か?株式会社Leading CommunicationのSNSマーケティング事業部 取締役 事業本部長の井上光さんに話を聞いた。 ■デジタルだけでは広いが浅い、リアルだけでは深いが狭い 分野が全く異なる2つの会社が協業することで生まれたハオハオチー。どういったきっかけで誕生したのだろうか? 「まず、ハラカドの運営会社である東急不動産さんから出店枠の話がBe aliveさんにありました。Be aliveさんと弊社の代表同士の仲がよかったこともあり、『一緒にやりませんか』ということでお声がけがあったのがきっかけです。弊社で飲食店を作っていくことは初めての経験でしたが、どんなお店にするのか、メニュー構成も含めてBe aliveさんと話し合いを重ねながら決めていきました」 株式会社Leading Communicationでは、インフルエンサーのプロダクションも行っている。所属するインフルエンサーたちから、ファンとの接点を作れないという悩みを聞いていたという。 「TikTokerをはじめとしたインフルエンサーたち自身でリアルイベントを開催するというのはなかなか難しいことです。動画というデジタルの世界だけに留まらず、なぜリアルイベントが必要なのか。これは弊社のコンセプトでもあることなのですが、リアルとデジタルを掛け合わせることで、コミュニティの熱量が上がっていくと考えているためです。デジタルだけでは広いが薄い。リアルだけでは深いが狭い。デジタルとリアルを融合させたことを私たちは“デジタリアル”と言っているんですが、ハオハオチーも“デジタリアル”な場所として作っていきたいという思いがありました」 インフルエンサーとファンをつなぐ架け橋として、オープン初日にはいよちゃんとのコラボイベントを開催。α世代である中学生から50代までの幅広い年齢層のファンが店頭に訪れ、いよちゃんとの交流を楽しんだ。 「ハオハオチーでのイベントでいよちゃんはチェ・ミンという新しいキャラクターに扮しているんですが、これは会社側から依頼したわけではなくて、彼女自身が考えてきてくれたんです。チェ・ミンとしてアップした動画も好評で、6月開催のイベントでは、チェ・ミンのオリジナルグッズも販売を予定しています。今後もいよちゃんとのイベントは続けていきたいですね」と井上さんは話す。 ■数々の想定外も「SNSの世界のように」柔軟にクイックに対応 いよちゃんとのコラボイベント以外では、どんな“デジタリアル”を考えているのだろうか? 「まだ、いよちゃんとのイベントを通じてどれくらいの人が来てくれるのかなどを測っている段階なので、もっと仕掛けていきたいと思っています」と井上さん。ハオハオチーでは店舗の公式SNSとして、TikTokとInstagramを運営しているが、当初予定とは違った形での運用になっているのだそう。 「実は、最初の予定では普段からインフルエンサーに店頭に立ってもらおうと思って、店作りをしていたんです。ところが、直前になって予定していたインフルエンサーの方が辞退されまして。人を立てられないということで、公式SNSは裏方の人が運営するアカウントという形で整えていくことになりました。ただ、結果的にこのアカウントは自由度が高く、動画作りでの仮説検証ができるアカウントになったので、思わぬ副産物でしたね」 井上さんによれば、TikTokは上下のスワイプで動画が切り替わっていくため「1秒で視聴をするかどうかの判断されてしまう」とのこと。最初の2秒でどれだけ惹きつけられるかが肝心で、そのためにさまざまなノウハウがあるという。数多くの大手企業のSNSアカウント運用も行っている株式会社Leading Communicationとしては、自社所有のアカウントがあることで、ほかの業務にも活かせるということだろう。 SNS運用以外にも、ハオハオチーの想定外はあったという。 「当初は、原宿近辺で働く20代、30代のオフィスワーカーをターゲットにハオハオチーを考えていました。なので、飲み物もアルコールをメインにしていたんです。ところが、いざオープンしてみると想像以上に若い方も多く来店してくださって。アルコールだけではよくないということで、フルーツ飴を入れたタンフルソーダがメニューに加わることになりました」 想定外はあるものの、ハオハオチーという新規ブランドだからこそ対応ができているという。 「既存のブランドの場合、それまで培ってきたイメージやコンセプトからぶれたことができないということがありますが、ハオハオチーは新しいブランドですから、“こうしなければならない”ということがありません。柔軟かつクイックに動けるというのが強みになっていますね。SNSと同じように、時代の流れに合わせてお店のことも変えながら運営しています。Be aliveさんと毎週のようにミーティングを重ねて、メニューもどんどんブラッシュアップしていきたいと思っています」 柔軟かつクイックに対応というのは、店舗の公式アカウントの運用方法についても当てはまる。 「おもしろい子が従業員に入ってきたらその人を軸にした形に変わるでしょうし、インフルエンサーでバイトをしたいという子が出てきたらその子を軸にして運用すると思います。SNSでバズを生み出せば、どんな層も取り込めると考えています。そのために、いろいろなことに挑戦していきたいです」 オープンして2カ月。想定外という困難はありつつも、“デジタリアル”を体現すべく変化をし続けるハオハオチー。その姿は「創造施設」を目指すハラカドという新スポットを象徴しているのかもしれない。 取材・文=西連寺くらら、撮影=三佐和隆士 ※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。