iDeCo4月の新規加入者3.9万人、第2号で企業年金ありの新規加入が前年同月比20%減
国民年金基金連合会が6月3日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると2024年4月の新規加入者数は3万9065人で加入者総数は331万6556人になった。4月の新規加入者数は前年同月比で0.1%減となり、前月まで2カ月連続で前年同月比を超えたものの、再び前年同月比でマイナスになった。今年1月から新NISAが始まって、非課税投資枠が生涯で1800万円に拡充されたことで、原則として60歳まで換金できないiDeCoへの関心が低下しているように感じられる。特に、第2号加入者(会社員や公務員)で、企業年金のある層で加入者数が前年同月比19.2%減と落ち込んでおり、企業年金に上乗せするiDeCoは、新NISAで賄うという動きになってはいないだろうか。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(イデコプラス:中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は7602事業所、対象従業員数は4万8423人になった。
4月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は5754人(前月5914人)と前年同月比32.6%増、第2号加入者は3万1337人(前月3万6128人)と同5.1%減、第3号加入者は1586人(前月1926人)と同14%増になった。第2号加入者の中で、企業年金なしの新規加入者が1万9552人(前月2万1032人)。「企業年金あり」が6697人(前月8015人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は5088人(前月7081人)となった。
iDeCo拠出額の平均は、1万6050円と前月の1万6042円から増額した。2022年12月の1万6202円から15カ月連続で減額が続いていた。加入者別では1号加入者が前月の2万8020円から2万8044円に増額したことが目立つ。他の加入者者ほぼ横ばいだった。平均拠出額の増減は、iDeCoへの関心度を測るバロメーターの1つになっている。相対的に関心度が低下すると拠出額平均は減額する傾向にあり、過去1年半にわたって、新NISAへの関心が高まることに逆行してiDeCoへの関心は低下する傾向にあった。ここで、1号加入者の拠出額が増額に転じたことは、2号加入者などの会社員等が、毎年の賃金上昇が伝えられる中で、自営業者等の1号加入者は、自助努力に一段と積極的に取り組まねばならないと考えているのかもしれない。もっとも1カ月だけでの変化で、そのような傾向を断言することもできないため、今後の経過を観察する必要がある。