生理についてコソコソ話す時代は終わった!偏見が消えつつある台湾の生理事情
コソコソ話す時代は終わった! 自由参加のレクチャーに参加する男子生徒も
――台湾では2004年に、性教育と恋愛教育、同性愛教育の3つのカリキュラムを含む「ジェンダー平等教育法」が成立。幼稚園から高校卒業まで、性について学ぶ機会がたくさん設けられているそうですね。(参考記事)以前と比べて、人々の生理に対する意識は変化していると感じますか? フィオナさん:すごく変わったと思います。私が月経カップの開発に携わり始めた頃は、まだ「生理」を「あれ」と表現する人が多かったけれど、ほとんどの人が躊躇なく言うようになった。女子同士でコソコソ生理について話していた私の学生時代とは、まったく違う時代を生きていると感じます。 ユアンイーさん:小学校を訪れて生理用品の使い方をレクチャーする活動を行なっているのですが、あるとき、生理について積極的に質問する男子生徒がいたんです。生理のレクチャー会に招待したらとても喜んで、熱心に学んでいました。彼のような若者が増えていると知り、とてもポジティブな気持ちになった! ■尿もれは生理と一緒。誰もが通る道なのに対処法はほとんどない ――これから力を入れていきたい活動や、新たに開発を予定している商品はありますか? フィオナさん:去年から販売している、尿もれ専用吸水ショーツの改良です。ムーンパンツを尿もれ対策に使っているという声が多数届き、尿もれについてリサーチしたところ、台湾では35歳以上の女性の25%が尿もれを経験していました。主な原因は妊娠と加齢。多くの人が人生で通る道でありながら、対策するための商品がほとんどない状況に、ナプキン一択だったかつての生理用品の状況が重なりました。私たちの商品で不便を取り除くことができれば、人々の人生をより豊かになるはず。そう感じて、尿もれ専用吸水ショーツを開発しました。 ユアンイーさん:経血と尿はともに液体ですが、質がまったく違う。経血量は多い日で平均18ccであるのに対して尿もれは1度に30~300ccと、量にも大きな差があるため、高い吸水力と速乾性を兼ね備えた新しい生地を開発しました。現在は改良を図りながら、男性用吸水ショーツの開発も視野に入れています。 ――他社の製品で、注目しているものがあれば教えてください。 ユアンイーさん:高雄市の医師が開発した、生理痛を軽減する機械が気になっています。クラウドファンディングで予約販売が始まって間もなく、500万元(現在のレートで約2390万円)を突破していました。実際に効果が感じられるのか、購入者のレビューを読むのが楽しみです。私たちにとって同業他社は、すべて仲間。生理を快適に過ごすための、さまざまな選択肢を提供することが私たちのモチベーションであり、企業理念なので! お話を伺ったのは ムーンパンツ共同創設者 ユアンイー 台湾初のタンポンブランド「KiraKira」創設者のヴァネッサが開催したグループインタビューに参加し、ヴァネッサと交流を深める。プロダクトデザイナーとしての経験を買われ、月経カップ「フルムーンガール」のデザインを担当。フィオナと生理用吸水ショーツブランド「GoMoond」を立ち上げ、「ムーンパンツ」のデザインを手掛ける。 ムーンパンツ共同創設者 フィオナ タンポンをテーマに修士論文を執筆。広告会社を辞めて、月経カップ「フルムーンガール」(原名FormoonsaCup)のプロジェクトマネージャーに。デザイナーであるユアンイーと、生理用吸水ショーツブランド「GoMoond」を立ち上げる。台湾のオンラインコミュニティに執筆した7万字超の研究論文が『生理を、仕事にする。台湾の生理を変えた女性起業家たち』(アジュマブックス)出版のきっかけとなる。 撮影/細谷悠美 取材・文/中西彩乃 企画・構成/木村美紀(yoi)