創薬の雄ぺプチドリーム復活、放射性医薬品が「金鉱脈」に
創薬ベンチャーのペプチドリームは川崎市の殿町地区に本社を構える。4月に製薬大手・ノバルティスとの提携拡大により一時金1.8億ドル(約280億円)を手にした(写真:尾形文繁)
東大発創薬ベンチャーのペプチドリーム(4587)が第2の飛躍期を迎えようとしている。 言わずと知れた日本のバイオベンチャーの雄だが、この4年余り、収益は上下動を繰り返し、停滞感が強まっていた。株式市場はその成長性に見切りをつけ、株価は長らく下落、低迷してきた。 その潮目が突然変わった。きっかけは4月30日、スイスの巨大製薬会社ノバルティス(NVS)と「放射性医薬品」で提携を拡大すると発表したことだ。一時金は1.8億ドル(当時約280億円)と、超大型契約のサプライズだ。 株価は勢いよく上がった。翌5月1日の高値(終値)2081円を6月5日に抜き、株価は上昇基調を維持する。大型契約があっても効果が長続きしなかった従来の株価パターンとは明らかに違う。今回は上昇のエネルギーが長く強いのだ。 根底にあるのは、今2024年12月期の収益急増、変化率の大きさへの評価だ。5月14日に大幅上方修正した今期業績予想は、売上収益450億円(前期比58%増)、営業利益201億円(同196%増)と、過去最高を大幅に更新する見通しだ。東洋経済は今回、同社の今期業績予想を売上高500億円、営業利益255億円にさらに引き上げる。 だが、今回の株式市場の“異変”は短期的なペプチドリーム(PD)の業績見直しだけが理由ではない。株式市場は、PDの構造的変化を感じ取っているように見える。それはいったいどのようなものか。
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大西 富士男