利上げ停止から利下げサイクルで注目される債券投資、分散投資のタイミング?
6月の米FOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)で利下げに転じる可能性は、現在のところ五分五分とみられている。消費者物価指数(CPI)などの物価指数の推移によって利下げ時期が後ずれすることも考えられ、今後の経済指標の行方が注目されている。昨年末時点では、利下げ開始は決定的とみられていたが、今年に入ってからの物価指数が比較的高い水準で推移していることから、利下げ期待はやや後退した見通しになっている。このような見通しの変化によって米国の債券市場は上下に振れているが、政策金利が5.25%~5.50%という水準に引き上げられた金利が、ここをピークとして遠からず下がっていくことが期待されている。このような金利のピークアウト期に活躍するのが債券ファンドだ。金利が下がっていく局面は、景気が悪化していることが多く、企業業績の悪化から株式市場が軟調になりやすく、なおのこと債券のパフォーマンスが際立つことになる。
代表的なグローバル債券ファンドのパフォーマンス(2024年3月末時点)を調べると、例えば、「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドBコース」の過去1年間のトータルリターンは22.18%となっている。しかも、リスク(標準偏差)は8.34%とリスク当たりのリターン(シャープレシオ)は2.66と、非常に効率的で高いリターンを残している。この水準は、今流行りの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のトータルリターン41.10%、シャープレシオ3.47と比べると見劣りするが、1ケタのリスクで年20%を超えるリターンを稼ぎ出す投資商品は、なかなか優れた商品といえるだろう。
ただ、この債券ファンドのパフォーマンスは、多くが円安・ドル高の恩恵によるところが大きい。ドル円は、2023年3月末の132.97円から、2024年3月末に151.35円へと約14%の円安になっている。外国債券ファンドの投資対象の債券はドル建てがメインで、この円安分だけでパフォーマンスの大半が説明できてしまうような状況だ。実際に、為替ヘッジをした「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドAコース」のトータルリターンは1.13%で為替ヘッジコストを負担する関係もあって、ほぼ横ばいのパフォーマンスにとどまっている。