『女郎花』ヒットの西川ひとみが同郷の大先輩・八代亜紀さんの『不知火情話』を“歌い継ぐ”覚悟の裏側
前作『女郎花(おみなえし)』が実売1万枚を超えるヒットを記録した演歌歌手の西川ひとみ。そんな彼女が 【写真】『女郎花』『不知火情話』がヒットの西川ひとみの「熱唱姿」 「絶対に歌いたかったんです」 と満を持して8月7日に新曲として出したのが、故郷の大先輩である八代亜紀さんが’05年に出した『不知火情話』です。 「熊本県八代市出身で、八代亜紀さんの実家の6軒となりだったんです。地元では有明海のことを不知火海っていうんです。漁火が見える不知火海をみて私も八代さんも育ってきた。本当にきれいな海なんですよ」 ◆八代さんから「あんた頑張らんといかんたい」 ’23年12月に73歳で亡くなられた八代さんが、35周年記念で出されたのがこの『不知火情話』でした。西川さんにとっては故郷の大スターが歌った、“故郷の歌”。強く惹かれるのは当然のことでした。 「最後に八代さんにお会いしたのは、昨年行われた番組の収録でした。八代さんは『女郎花』を聞いて下さっていて、“あんた頑張らんといかんたい”って九州弁でおっしゃってくださって、グータッチしてくださったのです。地元で憧れの人ですから、本当にうれしかった。 この曲をカバーさせていただくというときはまだ八代さんもお元気でしたし、本当に突然、お亡くなりになられてしまって……。八代さんが亡くなられたこともあり、すぐに出すのはどうかとも思いました。でも、憧れの八代さんが歌った地元の歌を、私が歌い繋いでいく。こんなうれしいことはないです」 前作の『女郎花』も30年前に作曲家の岡千秋先生が歌った歌。そして今回の『不知火情話』も岡作品です。 「昔遊郭があった時代の歌なのですが、ひとりの男性をずっと待ち続ける芯の強い女性の情念を歌っているんです。でも、私の性格とは全然違うんですけどね。私自身は、去っていく人は“ハイ、さようなら”って感じなんです(笑)」 ステージで『不知火情話』を歌うと、反響は上々だそうです。そこでカラオケで上手く歌うコツを伺うと、 「歌い出しの部分からインパクトがあり、カラオケファンの方がしびれるような曲だと思います。一番の決めは“あんた、逢いたか……”の部分。こういう歌はあんまりないんじゃないですかね。何も考えずに語りかけるように歌えば、すごく良いと思います」 と教えてくれました。 ◆“うなり節”の西川からイメチェンを 実は前作『女郎花』はYouTubeから火がついたという珍しいパターン。現在まで40万回再生されるなど、レコード業界でもこの売れ方は話題になりました。 「今まで何曲もリリースしていますが、YouTubeでこれだけ観られたのは初めて。YouTubeを観たらCDを買わないんじゃないかと思っていたんですが、CDが売れました。キャンペーンももちろんたくさんやったのですが、YouTubeが火をつけ、売り上げに貢献したのは間違いないですね」 コロナ禍では歌う場もなくなり、辞めることも頭をよぎったという西川さん。だからこそ、いまは1つ1つのステージを大切にしているといいます。 「『女郎花』までの私は、ド演歌で“うなり節”の西川ひとみだったんです。色気のない歌手だったんですよ。なので、女性ファンがほとんどなんです。本当は“お笑い”に行きたかったくらい“笑い”が好きなので、ステージは本当に面白いと思います。歌はもちろん真剣に歌っていますが、その間は笑ってばかり。なので、すごくストレス発散になりますから、ぜひとも一度、足を運んでいただけたら嬉しいですね」 デビューして22年。今年も10月に東京にあるホテル椿山荘でディナーショーを開催するなど、着実にファンを拡大しています。そんな西川さんが、故郷の大先輩である八代さんの歌を“歌い継いで”いくという覚悟を十分に感じました――。 取材・文:荒木田 範文(FRIDAYデジタル芸能デスク)
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