信州の“ソウルフード”牛乳パン Tシャツ化も、存在感は健在
長野県で根強い人気を持つ「牛乳パン」が、信州のソウルフードにも例えられてパン愛好家らの関心を集めています。牛乳パンは長野県で戦後、「子どもたちのために」と売り出されたともいわれ、いまだに県内各地の店頭で健在。牛乳パンのTシャツを売り出したパン店も話題になるなど、ユニークな存在が注目されています。
ホイップクリームをはさんだ素朴な味
牛乳パンはこれまでに長野県の民放や、最近では全国ネットの民放テレビで取り上げられ、その都度話題に。牛乳パンを製造販売している長野市豊野町の小林製菓舗(小林憲司社長)が調べたところ、長野県内で牛乳パンを販売しているパン店などは長野市、佐久市、松本市など全県にわたる約20店。このうちスーパーなどに大口出荷している店もあるため、牛乳パンのネットワークは広大です。 小林製菓舗社長の夫人、幸子さんによると、「牛乳パンは戦後の貧しい時代に子どもたちのために少しでも栄養のあるパンを提供したいとパン業界の発案で昭和30(1955)年ごろ全県で売り出したようです」。小林製菓舗も同じころから販売。名物パンは長野県発祥とも言える存在感を持つようになりました。
牛乳パンは練乳を原料としたホイップクリームをパンにはさんだ素朴な作りで、飽きの来ない優しいパンとして当時からランチやおやつに好まれてきました。小林製菓舗では店頭で1日5~6個ほど売るだけで、長野市内のスーパーなど14店に納める主力の牛乳パンは連日200個を超します。 牛乳パンの包装のレトロ感のあるデザインも人気。小林製菓舗によると、60年ほど前にパンを発売した際、長野県木曽町のパン店の女性が幼かった息子をモデルに描いたもので、現在も広く使われています。
牛乳パンにこだわりを持つ小林製菓舗はパンの包装のデザインを胸に描いたTシャツも作り、店頭や長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」で販売。珍しいTシャツが目を引き、小林製菓舗では毎月1~2枚のペースの着実な売れ行き。「テレビで紹介されたりすると1日5~6枚売れることも」と幸子さん。 東京・銀座のアンテナショップ「銀座NAGANO」は、夏期に休んでいた牛乳パンの販売を再開するお知らせを11月21日のブログで発信。かねまる(木曽町)、モンパルノ(宮田村)、笹沢ベーカリー(上田市)、高原のパン屋さん(小海町)、トラットリア・フォルツア(安曇野市)、小林製菓舗(長野市)の6社の牛乳パン販売情報や、「牛乳パンTシャツ入荷」のお知らせも掲載して「信州のご当地名物」応援に力を入れています。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説