おごらず、愛をもって。齋藤飛鳥、25歳の現在地。
2023年5月、東京ドームで行われた齋藤飛鳥の卒業コンサートは「卒業する自身ではなく、愛する後進のため」のステージだった。圧倒的センターという、ときに孤独と戦うポジションでありながら、常に愛であふれていた人。グループを卒業し、個の歩みをはじめた25歳の齋藤飛鳥に等身大の"いま"の気持ちを聞いた。メゾンのルックをモードに着こなしたファッションストーリーの写真とともにお届けする。
──今回「フィガロジャポン」の撮影ではオールインをテーマに撮影をしましたが、いかがでしたか。
普段からメンズライクなアイテムを選ぶことが多いので、オールインワンも好きなアイテムのひとつです。私は身体が小さいこともあって、ぱっと見たときに男性的な印象を与えられる要素が少ないと思っているんです。女性であることの強みは感じながらも、自分の中で無意識にジェンダーを超えるパワーとなるものを探しているのかもしれません。そういう意味で、オールインワンは自分の概念をアップデートできる服という発見がありました。
──齋藤さんは現在、25歳ですがこれまで生きてきた中で変わらない考え方はありますか。
25年とまではいかないのですが、この10年くらいは「自分にも、人にもあまり期待しない」ことを頭の片隅に置いています。過度な期待をかけて自分にがっかりしてしまうとしんどいから、心の健康を守るという意味で。期待しないって一見、ドライな印象を受ける言葉だと思うのですが、そのためには愛をしっかり持つことが大切だと思っているんです。たくさんの情報があふれている中で、自分も相手も愛をもって守る。なかなか難しくて自分ではまだ愛を使いこなせていないな、とも思うのですが......。 ── "愛"という言葉を聞いて、2023年5月の卒業コンサートがリンクしました。自身のためのセレモニーではなく、後に続く後輩たちのためのステージ構成でしたね。ファンの方へ「乃木坂46をこれからもよろしくお願いします」というラブレターを送っているような印象を受けました。 グループ在籍中、自分のために頑張った経験もたくさんあるのですが、それ以上に後輩に対する思いが大きくなっていったんです。私はいろいろと経験させていただいてコップの水がいっぱいになるくらいやりきれたという気持ちもあったので、これからは楽しさもしんどさも後輩たちに全部感じてもらいたいという思いから私は卒業へと向かいました。私自身、人間性ができているわけでもないので、ひたむきに頑張る後輩たちの姿が自然とその決断へと導いてくれたような感じです。