富士通がアイシンとの激闘を制し4度目の優勝[皇后杯ファイナルラウンド/バスケ]
4Q逆転で、富士通が17年ぶり優勝
第91回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会ファイナルラウンド決勝戦が、12月15日に国立代々木競技場第二体育館において行われた。 【写真】皇后杯決勝フォトギャラリー写真(15点)をチェック
前日の準決勝を勝ち上がったのは富士通 レッドウェーブとアイシン ウィングス。富士通は17シーズンぶりの皇后杯獲得を目指し、アイシンは初タイトルを狙う。アイシンは今シーズンを迎えるにあたり、ENEOSから実績・実力のあるベテランNo.1渡嘉敷来夢、No.2岡本沙也加の2人が加入するなど補強を行い臨んできた。Wリーグのレギュラーシーズンでは、なかなか勝ち切れない試合が続き、5勝11敗と8チーム中7位に位置していたが、チームのコミュニケーションも高まってきており、皇后杯では上位チームを次々と破って初のベスト4入り。準決勝でもトヨタ自動車との接戦を制してファイナルへと進出した。 富士通は昨シーズンのWリーグチャンピオン。今シーズンも万全の戦いを繰り広げ、15勝1敗とリーグ首位を走る。今シーズンの目標は皇后杯、リーグの2冠。そのためにもまずは皇后杯に照準を合わせてきた。 両チームは今シーズンすでに4試合対戦。その全てで富士通が大差を付けてアイシンを退けている。皇后杯の決勝でもおのずから富士通の有利は揺るがないものと思えた。しかし、試合の出だしから、気力あるプレーを見せたのがアイシンのNo.1渡嘉敷。ゴール下のパワープレーで先制すると、3Pシュートも決めてチームを鼓舞する。富士通はNo.52宮澤夕貴、No.10町田瑠唯の3Pシュートなどで応戦しすぐに追い付くものの、アイシンは若手のNo.10野口さくら、No.20山口奈々花、No.14近藤京らが思い切りのいいプレーで続き、1Qを18-15とリードする展開となった。
2QもNo.1渡嘉敷がインサイド、ミドルショットと止まらない。さらにNo.10野口の連続3Pシュートで30-19とリードを広げる。女王・富士通はアイシン、No.1渡嘉敷の気迫・勢いに飲み込まれてしまった形となった。 富士通はNo.27江良萌香の3Pシュートで一息つくが、渡嘉敷が自らのシュートだけでなく、自分にディフェンスを引き付けて、アシストを見せるなど、流れを渡さずに38-29とリードを守ったまま前半を終えた。アイシンは準決勝では2本しか決まらなかった3Pシュートが、前半だけで7本成功と、富士通の5本を上回っているのも大きなポイントとなった。 「渡嘉敷選手のところを抑えなければならなかったのができず、そこに集中したところをアウトサイドからもやられてしまった」と町田。 後半もアイシンがいい流れでスタートしたが、徐々に富士通が差を詰めていく。アイシンは富士通ディフェンスの前に得点ができない苦しい状況に追い込まれていったのだ。結局3Qが終わった時点で、47-43とその差が4点まで縮まった。 勝負の最終クォーター。富士通のNo.81宮下希保が3Pシュートで1点差とすると、No.1渡嘉敷が入れ返し、一歩も引かない。両チームとも連戦の疲労がある中、ディフェンスでも勝利への執念を見せ、決定打が来ない状況で、富士通はNo.52宮澤がフリースローで一点差に詰め寄る。すると残り3分20秒。No.27江良の3Pシュートが決まり、55-53とついに逆転に成功する。そこからは我慢し続けてきた富士通オフェンスが一気に爆発し、ディフェンスからブレイク、No.25内尾聡菜の3Pシュート、No.52宮澤も続き一気に試合を決定づけた。65-55とアイシンを突き放し、2008年以来となる4度目の賜杯を手中に収めた。