阪神の1位指名予想は地元・兵庫の今朝丸裕喜（報徳学園高・185cm79kg） photograph by Nanae Suzuki

「ひとりドラフト」とは私自身が“12球団”の代表者になったつもりで実際のドラフト候補選手たちを指名して、ひとりで「ドラフト会議」を完遂してしまう。そういう企画です。第3回は阪神、ソフトバンク、巨人編です。【全4回の4回目/＃1、＃2、＃3へ】 【貴重写真】大谷17歳、まだガリガリだけど甲子園で衝撃の特大HR、ぷっくり捕手な村上。ガリガリな柳田、ヤンチャそうな学ラン姿の張本に無名時の山本由伸…名選手140人超の高校時代を見る

地元・兵庫の阪神1位は「3年後の藤川球児」

【阪神タイガース　2024年ひとりドラフト指名選手】 1位　今朝丸裕喜　18歳　投手　報徳学園高　185cm79kg　右投右打 2位　浦田俊輔　22歳　遊撃手　九州産業大　170cm70kg　右投左打 3位　荘司宏太　24歳　投手　セガサミー　172cm80kg　左投左打 4位　城野達哉　25歳　捕手　西濃運輸　177cm84kg　右投左打 5位　坂井遼　18歳　投手　関東一高　178cm78kg　右投右打 6位　庄子雄大　22歳　遊撃手　神奈川大　180cm75kℊ　右投左打 7位　寺岡丈翔　24歳　外野手　四国IL徳島　181cm83kg　右投右打 【阪神　総評】 　85勝53敗5引き分け、勝率.616。昨季の圧倒的なセ・リーグ制覇が素晴らし過ぎたためか、今年の阪神は何かにつけていろいろ言われ、気の毒に見えることも多かった。岡田彰布監督も、健康が気遣われるような顔色、表情で懸命にチームを率いたが、最後は期待する選手たちの成長が感じられなかったことを嘆きながら勇退した。 　ただ、順位は1つ下がったが、チーム防御率は昨季の「2.66」から、さらに優れて「2.50」をマーク。鉄腕守護神・岩崎優(4勝4敗・23セーブ・防御率2.20)は来季も健在のようだし、先発陣で才木浩人(13勝3敗、3完封・防御率1.83)、リリーフで桐敷拓馬(70試合・40ホールド・防御率1.79)の急台頭も頼もしい限り。打線は急には強化されにくいだけに、来季も強力投手陣の頑張りを軸に、新任・藤川球児監督がチームを牽引していくことになるのだろう。 　ドラフト前、地元の快腕・金丸夢斗(関西大)だとか、ショートは10年安泰の宗山塁(明治大)だとか、いちいちもっともに聞こえた阪神タイガースの「1位指名報道」だったが、球団と藤川新監督は、将来のエース候補を優先した。 　今朝丸裕喜(投手・報徳学園高)は、金丸夢斗と並んでもう1人、地元・兵庫が生んだ逸材だ。 　この夏は、体のどこかに不調をかかえて投げていたようで、本来の力の50％ほどのピッチングしかできていなかったが、春のセンバツでの投げっぷりには、見る者を惚れ込ませるほどの魅力があふれていた。 　うなるような迫力の140キロ台後半の速球に、スライダー、カーブ、高速フォークはそれぞれプロで通用する球威を帯びて、しかもコントロールが安定している。高校生を評価すべきはその「最大値」だ。調子の波は大型本格派の素材であるほど仕方がない。3年後の「藤川球児」を目指す。 　今季、木浪聖也が精一杯頑張った「遊撃」のポジションに、その後釜と同時に走れる選手が欲しい。2位・浦田俊輔(遊撃手・九州産業大)と、6位・庄子雄大(遊撃手・神奈川大)は、そんな願いを込めての指名になった。 　スピード抜群のフィールディングとベースランニング、小柄でも、油断すると「バチーン！」とライナー性の長打を食らわせる。浦田遊撃手は野球の才能満載の即戦力候補。正面の内野ゴロでも、一塁駆け抜け間一髪の持ち込める快足は、スピードだけなら浦田遊撃手以上かもしれない庄子遊撃手。横浜高仕込みの高い野球理解度も、貴重な戦力になる。 　頼りになる左腕のリリーフが桐敷拓馬だけ(失礼！　)の投手陣にうってつけのパワーサウスポー・荘司宏太(投手・セガサミー)。見た感じ、ヤクルト・田口麗斗。勝負度胸満点の真っ向勝負で145キロ前後の速球とチェンジアップ。猛烈な腕の振りのわりに、ストライク先行の投球が頼りになる。