近視を甘く見てはいけない...医師が教える「失明リスク」を防ぐ習慣
「年を取ったら、目が悪くなるのは当たり前」と思っていませんか? 『THE21』2024年7月号では、「近視・緑内障・白内障」になる理由から、気になるレーシック手術、 近視の進行を止める眼科医療の最先端の話題までを、 世界の眼科医療事情に詳しい医学博士・窪田氏に聞きました。(取材・構成:林加愛) 近視を進行させないためには? 2つの対策法 ※本稿は、『THE21』2024年7月号掲載「危険! 万人に潜む失明リスクは、こうして防ぐ」より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「近視は病気」という認識が高まっている
現在、日本人の成人のおよそ5割が近視であると言われています。近視は基本的に、子どもの目の成長過程で起こりますが、近年は成人してから発症する人も。ビジネスパーソンの方々の中にも、「仕事で長時間PCを扱うようになってから、めっきり見えづらくなった」という方がいるのではないでしょうか。 日本では軽視されがちな近視ですが、世界的には「治療が必要な病気」という認識が浸透しつつあります。近視は悪循環的に進む性質があり、失明に至るような病気のリスクも高まるからです。中年期から増える緑内障や白内障もその一つ。40~50代の方々は、注意が必要です。 そのためにも、まずは「目の基本」――近視や遠視、乱視などのメカニズムについて、知っていただきたいと思います。 眼球は、カメラと似た構造をしています。一番外側にある角膜がフィルター、水晶体がレンズに当たります。ここを光が通り、一番奥の網膜というフィルムの上で像を結びます。 網膜上できちんとピントが合っている状態を「正視」と言います。対して、網膜よりも手前にピントが来る状態が近視、奥にピントが来るのが遠視です。 乱視は、重力などの影響で角膜や水晶体の球面が歪む症状で、一つのものが複数に見えるなどの見づらさを起こします。 また老眼は、医学用語では「老視」と言って、加齢によって水晶体の動きが悪くなる現象です。水晶体は厚みを変えることでピント調節をするのですが、膨らむ(近くを見る)方向にのみ動くため、その動きが鈍ると手元が見えづらくなります。ちなみにもともと近視なら、老眼になっても近くはよく見えます。