大田ステファニー歓人「ゴミの収集は公共性マックスみたいな」ゴミ清掃員を兼業する三島由紀夫賞作家
独特の言語感覚とグルーヴ感で、若者の連帯と社会への抵抗を鮮やかに描く小説『みどりいせき』。その著者であり、同作で第47回「すばる文学賞」、第37回三島由紀夫賞を受賞した大田ステファニー歓人さんは、ラップで披露した授賞式のスピーチやその後のインタビューなどでも注目を集めました。今回は大田さんに、ゴミ清掃員の仕事を選んだ理由や、次回作について伺いました。 【写真】大田ステファニー歓人さんインタビューフォトギャラリー
ゴミの収集はめっちゃ社会貢献だし、公共性マックスみたいな
――普段はゴミ清掃員の仕事を終えてから小説を書いているそうですが、この仕事を選んだ理由は何でしたか? 大田さん: 今は子どもが生まれて、一旦休業中なんですけど。ゴミ清掃員の仕事を始めたきっかけは、朝早いけど終業が15時前後と決まってたからっすね。小説を書くことが優先だったから、正直お金もらえるんだったら仕事は何でもいいやって最初は思ってて、空き時間多いしめっちゃ小説書けるじゃんと思って決めました。 その前にも色々仕事してた中で、営業職をしていたことあるんですが、社会にどう貢献してるのかわからなくなって辞めちゃったっす。必要のない需要を無理やり生み出して人に営業をかけてもの売って、何になるんだろうって。 でも、ゴミの収集はめっちゃ社会貢献だし、公共性マックスみたいな(笑)。やり始めたらやりがい感じました。肉体労働でキツいし、適当にゴミ出してる人もいて、そういうのは嫌になるけど、時々ゴミ袋に「いつもありがとうございます」って付箋がついていたりして、そういう人の優しさに触れられるから続けられてるのかもしれないです。 あと、ごみ収集しながら人と関わることで、小説の風通しがよくなる部分もあるんです。体感ですが住民の半分は清掃員に高圧的な態度でムカつくけど、そういう人も家族に優しかったり、職場で頼りにされてるかもしれないなって想像する。嫌な他人の見えていない側面を想像しているうちに、小説を書くときもひとつの側面で人物を書かないようにしようって気持ちになりますね。