思わぬ肌トラブル、ハロウィンの〝タトゥーシール〟で 特に子どもはシミ残るケースも 消費者庁が注意喚起
使った時に思わぬ肌トラブルや皮膚障害が起こる例があるとして、消費者庁が注意を呼びかけたのは、ハロウィンの時期に需要が高まるタトゥーシールです。楽しいイベントのために子どもが使用したことで「肌にシミが残った」というケースも。特に小児は皮膚が薄いので、注意が必要です。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎) 【写真】厳戒態勢だった渋谷、出動した大勢の警察官と物々しい雰囲気 昨年のハロウィンの様子
10代の子どもの「肌にシミが残った」
ハロウィンの時期。仮装のために、親や子ども自身がさまざまな柄の「タトゥーシール」を準備し、肌に貼ることがあります。 タトゥーシールとは、絵や文字が印刷された台紙を皮膚に密着させて転写するもの。ネット通販や100円ショップなどで安価に購入でき、タトゥー(入れ墨)のように皮膚を傷つけることなく、手軽に楽しめることから、近年、ハロウィンのイベント等で使用している人が多く見られます。 しかし、そんなタトゥーシールについて、消費者庁には「肌に合わずかゆくなった」「剥がしたときに肌に傷がつきシミが残った」等の事故情報が寄せられていると、X(旧Twitter)で注意喚起しました。 中には「タトゥーシールを左頬等に使用したところ、左頬が炎症等の重傷」になった事例もあるということです。 現状、「日本ではタトゥーシールの安全性や品質等について明確な法規制や基準等はありません」と同庁。 国民生活センターが、販売されている製品に有害な成分が含まれていないかテスト。一部の製品において、化粧品には含有が認められていない成分が検出され、皮膚の炎症やアレルギー等の原因になる物質が含有されることもあることがわかりました。 このテストでは、一部の製品から皮膚のトラブルの原因になるホルムアルデヒドやクロム、コバルトといった金属が検出されたということです。 消費者庁と国民生活センターが運営する事故情報データバンクには、タトゥーシールによって起きた以下のような皮膚トラブルの報告が寄せられています。 「タトゥーシールを子どもの頬に貼ったが強くこすらないと剥がれず、あとがかさぶた状になり、現在シミになってしまった」(子どもは5歳以下) 「娘がハロウィン用のタトゥーシールを頬に貼って、8時間ほど経過した後に剥がしたら、発赤し痛みがあった。シールはボディ用で顔用ではなく、皮膚の弱いところには貼らないように注意書きがあった」(子どもは10代) 同庁は「特に、子どもの皮膚は大人に比べて表皮が薄く、皮膚障害が発生する可能性があります」として、警戒を呼びかけています。 タトゥーシールを使用するときは、以下の点に注意が必要だといいます。 <化粧品のように安全性の基準等が定められた製品ではないことに留意して使用する。子どもに使用する場合は、より注意が必要。> <アレルギー体質の方は、成分表示をよく確認する。肌に傷や湿疹などの異常がある場合には症状を悪化させる可能性があるため使用しない。> <使用方法、剥がし方、対象年齢及び使用上の注意をよく読んでから使用する。事前に腕の内側などの目立たない部分で使用テストをする。> <肌に合わない場合はすぐに使用を中止し、赤み、腫れ、かゆみ、痛み、刺激や黒ずみ等の異常がある場合には皮膚科医を受診する。> 藤田医科大学医学部アレルギー疾患対策医療学教授の松永佳世子さんは、こうした注意喚起にあわせて、「タトゥーシールやフェイスペイント等はその落とし方を誤ると、皮膚障害が起こる可能性があります」「異常がみられたら、すぐに使用を中止し、速やかに皮膚科医を受診してください」と指摘。 「セロハンテープで除去するといった方法が書いてある製品があるようですが、それでは皮膚の角質も一緒に剥がれてしまいます。落とすときは、クレンジングの後、石けんで洗い、保湿した方がよいと思われますが、その際も優しく、こすりすぎないなど、十分に注意してください」