【インタビュー】日本ハム・水谷瞬 日々、がむしゃらに「『一日1本』という気持ちで、その1本が勝利に貢献できる1本だったら」
マンチュウおるな
日本ハム・水谷瞬
予期せず新天地となった北の大地で、まさに「シンデレラボーイ」と呼ぶべき鮮烈な輝きを放っている。同世代の多い環境に後押しされ、フレッシュな気持ちで突き進んでいく。 取材・構成=杉浦多夢 写真=高原由佳、BBM※成績・情報は7月21日現在。年齢は2024年の満年齢 史上最高打率での交流戦MVP獲得を、いったい誰が想像できただろうか。プロ入りから5年間で一軍出場のなかった男が、現役ドラフトをきっかけに、新天地で水を得た魚のように躍動している。 ──開幕前はご自身でも予想していなかった前半戦の活躍ではないでしょうか。 水谷 数字だけを見てみたらすごい数字というか、しっかり結果を出せているのかなと思うんですけど、本当に実感がなくて。交流戦でMVPを獲ったことも、歴代最高打率という記録をつくったということも実感がないですね。ただ、交流戦の前から、交流戦が終わっても、1打席1打席同じような気持ちで取り組めているのは大きいのかなと感じます。 ──今季はどんな目標を設定していたのでしょうか。 水谷 この2、3年は目標というのをつくっていなくて。1年目や2年目はまず一軍出場とか、一軍でヒットを10本打つとか、そういったことを目標にしていたんですけど、年数を重ねてくると一軍出場だけを目標にするのはもうおかしい。かといって、経験もないのに一軍で打率2割5分とか、ヒット50本といった設定をするのもまた違うかなと感じていて。だから本当に具体的な目標はなく、新しい自分として1年を通して成長しよう、その過程で新しい経験、例えば一軍に上がって何か数字が残れば、それを上回る数字の目標というのが次の年に生まれると思っていました。 ──その気持ちはファイターズに移籍しても変わらなかったのですね。 水谷 大きくは変わらなかったんですけど、新しいチームで、新しいチャンスをいただいて、指導者の方たちも固定観念なく見ていただけるので、僕自身もイチから出直しだという思いはありました。区切りの5年が終わっての6年目だったので、ルーキーシーズンじゃないですけど、キャンプからそういう気持ちでやってやろうとは思っていました。 ──あらためて現役ドラフトでファイターズへの移籍が決まったときは、どんな心境だったのでしょうか。 水谷 現役ドラフトで指名されたことを知らされて、どこの球団か分からない状態で球団事務所に行ったんですけど、「ここかな? あそこかな?」と考えた中になぜかファイターズは入っていなかったので、少しびっくりしたというのが正直なところです。実際にファイターズだって言われたときは、「マンチュウ(万波中正)おるな」と思いましたね(笑)。 ──万波選手とは以前から連絡を取り合う仲だったそうですね。 水谷 それほど・・・
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週刊ベースボール