【菊花賞】距離延長実績に好感、指数トップのダノンデサイルを推奨 穴は好枠ゲットのピースワンデュック
良馬場開催なら2週目の3角位置がポイントに
菊花賞は全頭が初の3000mとなるため、2週目・3角までは脚を溜める展開がほとんどだ。過去10年は、2017年こそ極悪馬場という滅多にない条件でのレースとなり、かなりの前傾ラップだったが、それ以外の年は平均ペースよりも遅い流れで決着している。 【2024菊花賞】注目の予想はここからチェック! 良馬場開催の菊花賞では2週目・3角の下り坂からペースアップする傾向にあり、3角では中団付近の位置にいないと勝ち負けするのは難しい。2015年キタサンブラックは過去10年で最も後方となる同10番手から優勝したが、これはマクる馬の出現で一時的に位置が下がったものだった。また2019年勝ち馬のワールドプレミアは追込馬ながらも当レースでは同8番手まで位置を上げていた。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位タイ ダノンデサイル】 皐月賞では大事を取って直前で回避したが、それが功を奏し、次走の日本ダービーで優勝した。同レースでは5番枠からますまずのスタートを切り、ハナに立つ素振りを見せながらの先行策。最終的には外のエコロヴァルツを行かせて2列目の最内を確保した。 道中はかなりのスローだったが、3角手前でマクる馬が出たことにより一気にペースアップ。3~4角で外を回るロスがあった馬たちが苦戦するなか、最短距離を通し直線序盤ではエコロヴァルツの内を突いてじわっと伸びる。ラスト2Fで3/4馬身ほど前に抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて2馬身差で完勝した。 日本ダービーでは内と前が有利な展開を上手に乗られていたが、今回もロスなく立ち回れる内枠を引いた。加えて、日本ダービー2~5着馬が今回は不在。本馬が記録した日本ダービーでの指数を上回る馬は出走しておらず、同等の指数を記録したのはセントライト記念時のアーバンシックのみ。それならば夏場の休養で成長を促したダノンデサイルのほうが優勢だ。 また、芝3000mがベストとは言わないが全馬が未経験の距離という条件において、この馬は芝1600mデビューから距離を延ばして上昇してきた点は好感が持てる。今回の本命候補だ。 【能力値1位タイ ヘデントール】 新馬戦で後の皐月賞馬ジャスティンミラノの2着に入線すると、その後2連勝。続く青葉賞では1番人気に支持されたが、やや出遅れ後に接触して最後方からとなり、マクるタイミングもなく8着に敗れた。日本ダービー出走の夢は断たれたが、その後、2勝クラスの町田特別と3勝クラスの日本海Sを連勝し、初めてのG1に挑む。 前走の日本海Sでは大外9番枠から出遅れ、外にヨレたが、そこから立て直されてじわっと好位の外まで挽回。向正面で前に取りついたが、前2頭が一気にペースを引き上げたため、離れた3番手の外で3角へ。3~4角では仕掛けながらじわっと進出し、直線序盤で外に誘導するとすっと先頭に立つ。ラスト1Fでそのまま抜け出すと、3馬身半差をつけて圧勝した。 前走は前後半5F61秒9-57秒5のかなりのスローペースだったにせよ、序盤からポジションを上げるロスがあったことや、3~4角から仕掛けてラスト1Fは加速して後続を引き離した内容は素晴らしかった。しかし、それでもC.ルメール騎手はアーバンシックに乗ることを選んだのはなぜか? おそらくだが、完成度がかなり低く、ゲート、二の脚ともに不安があるからだろう。 近2走、少頭数のスロー戦で通過順位を見ると先行してように見えるが、序盤は後方付近からのレースになっており、このレースぶりはデビュー当初から変わっていない。馬に英才教育を施すことに定評のあるC.ルメール騎手をもってしてもこの点は変えられないようだ。 今回も良くて中団、最悪の場合は最後方からの追走になることが想定される。良馬場の菊花賞なら、2週目の3角で中団より前の位置を取っていないと厳しく、メイショウタバルが逃げて平均ペース以上になりそうなことを踏まえれば、ポジションを上げ切れずに終わってしまう可能性が高い。加えて、前走で自己最高指数を記録した後の“疲れ残り”が予想される一戦でもあり、ここは評価を下げたい。 【能力値3位 アーバンシック】 前哨戦・セントライト記念の覇者。このレースは1番枠からやや出遅れ、二の脚もひと息で後方からの追走。そこから中団内目のスペースを上手く拾いながら位置を押し上げて3角へ。3~4角では3列目の内目で包まれかけたが、外からコスモキュランダが動いたことである程度ペースが上がり、生まれたスペースから4角出口で外に誘導。直線序盤で2列目に上がると、早めに抜け出したコスモキュランダをラスト1Fで捉えきり、1馬身3/4差で完勝した。 後手から挽回しながら、最後の直線でもしぶとく伸びての完勝した内容はとても強かった。しかし、本馬はゲートや二の脚の遅さが弱点で、超絶スローペースで内前が有利だった日本ダービーでは、後方外々を回って11着に敗れている。また、休養明けの皐月賞で小差4着と好走した疲れの影響もあったはず。 末脚を生かすタイプだけに、前走よりも距離が長くなるこの舞台でポジションを取りに行った場合に不安があり、加えて休養明けのセントライト記念で自己最高指数を記録した後の疲れも懸念される一戦。C.ルメール騎手がヘデントールではなく、こちらを選択していることから、悪い状態ではないのだろうが、崩れる危険性はある。人気するなら評価を下げたい。 【能力値4位 コスモキュランダ】 当時1勝馬ながら6番人気で弥生賞をマクって優勝すると、次走の皐月賞でも2着に好走した馬。皐月賞では12番枠からやや出遅れたが、コントロールしながら1角で内に入れ、向正面では中団内目で我慢し、3~4角ではシンエンペラーをマーク。かなり押しながら鞭まで入れて中目に誘導して4角出口で外へ。直線は4列目からじわじわ上がり、ラスト1Fでは内から先に動いたジャスティンミラノと一緒に伸びた。先に抜け出したジャンタルマンタルは捉えたが、ジャスティンミラノにはクビ差届かなかった。それでも、アーバンシックには先着している。 前走のセントライト記念ではアーバンシックに完敗しての2着。8番枠からやや出遅れ、そこから無理せずに中団馬群の中目を追走。道中は中団外からじわっと押し上げ続けると、4角では楽な手応えで2番手まで上がり、直線序盤で先頭に立った。しかし、ラスト1Fでアーバンシックに一気にかわされて1馬身3/4差で敗れてしまった。 このレースは3~4角でアーバンシックが内の最短距離を通したのに対し、コスモキュランダは、3~4角の外から位置を押し上げたことでロスが生じており、これがラスト1Fでの甘さに繋がった面がある。ただし、ここで記録した指数は皐月賞と同等と、それなりに好走しているだけに、叩かれての大きな前進は期待しにくい。 【能力値5位タイ アドマイヤテラ】 2走前に、芝2600mの2勝クラス・阿寒湖特別で2着。7番枠から出遅れ、道中は後方4、5番手まで挽回していく形。スタンド前で中団付近に取りつくと、向正面でも中団中目から徐々に前との差を詰めて3角へ。4角では好位列の外で包まれ、進路がないまま迎えた直線では3列目に下がってしまった。しかし、ラスト1Fで進路を確保するとしぶとく伸びて、勝ち馬にクビ差まで迫ってゴールした。 このレースは3~4角からペースが上がり、ラスト2Fは12秒1-12秒1と減速しない展開。そんななか、4角で包まれて仕掛けが遅れ、外から勝ち馬アスターブジエに先に動かれてしまった。この不利がなければ勝っていただろう。また、最後までしぶとく伸びていた点に長距離適性の高さを感じる一戦だった。 そして前走の2勝クラス・茶臼山高原特別では順当に勝利した。2番枠からまずまずのスタートを切って好位中目を追走。4角出口で各馬が外に広がっていくなか、中目をさばきラスト2Fで先頭に立つと、そのまま抜け出し2馬身差で完勝した。 本馬は折り合いがスムーズで長距離適性が高い。前走では好位からレースを進めているので、本番でも流れに乗りやすいはず。今回は武豊騎手に乗り替わりとなるが、長距離が得意な騎手だけに割り引く必要はない。重い印を打ちたい。 【能力値5位タイ シュバルツクーゲル】 この馬はデビュー2戦目の東京スポーツ杯2歳Sで2番手を追走して2着に善戦したように、前々走までは先行馬だった。しかし、前走のWASJ第2戦(3勝クラス)では、前半で無理をさせずに控えるという、新味を見せて勝利した。 その前走は3番枠から五分のスタートを切って促されるも、外の各馬が速く、被せてきたので中団の内に控える形となった。道中も中団後方の内目を追走し、脚を溜めて3角へ入ると、外に誘導して4角で一気に2列目まで上がって直線へ。序盤でしぶとく食らいつき、ラスト1Fで抜け出すと2馬身半差で完勝した。 このレースは連続開催の札幌開催11日目で、多少時計がかかっていた中で、緩みない流れだった。そのため、レースのラスト3Fは37秒5も要しており、ここでは展開に恵まれていた。 4走前の弥生賞のように3~4角で一気にペースアップすると最内からでも動けなかったことや、前々走のSTV賞のように上がりが速い決着になると好位から伸び負けしてしまうところから、スタミナ特化型であることを感じさせる。実力比較では見劣りするが、メンバー屈指の長距離馬と考えられるだけに警戒はしておきたい。