栽培地が半減する危機 コーヒーやチョコレートを襲う「2050年問題」【WBS】
なぜ?栽培地半減の危機に
コーヒー豆というのは現在、北緯25度ー南緯25度の間の地域でのみ栽培されていて、この一帯はコーヒーベルトと呼ばれています。もし地球温暖化がこのまま進むと、気温や湿度の上昇、降雨量の減少などを引き起こし、豆の品質が下がってコーヒーにとって深刻な病気も発生しやすくなります。その結果コーヒーの生産量が大きく減少する恐れがあるんです。 例えば世界一のコーヒー生産量を誇るブラジルですが、栽培に適した土地が2050年には南側の一部に限定されてしまうという予測もあります。世界中でこうした影響が広がった場合、喫茶店などで使われるアラビカ種と呼ばれるコーヒー豆の栽培地は2050年に半分に減ってしまう可能性があるといいます。既にコーヒー価格は大きく上昇していて、この先更なる高騰のリスクも高まっています。
チョコレートにも2050年問題
2050年問題に直面しているのは、コーヒー豆だけではありません。コーヒーベルトのさらに内側、北緯20度ー南緯20度の間にはカカオベルトと呼ばれる地域が広がっています。つまり、カカオ豆を原料とするチョコレートにも、同じように生産量が減る懸念が強まっています。 こちらも企業での対策が始まっています。大手菓子メーカーのロッテは26日、カカオ豆の殻(カカオポッド)を再利用すると発表。カカオ豆の総重量のうち8割を占めるとされるカカオポッドは、これまで活用されずに農園に放置されていて、そのまま腐り、メタンガスが発生するといった問題も生じていました。炭素を含むバイオ炭に加工し、肥料として活用するための試験を始めます。 ロッテは主にアフリカ・ガーナからカカオ豆を調達していますが、近年、天候不順や農薬の高騰などが原因で、カカオ豆の収穫量が大きく減少しています。今年4月には1トン=9980ポンドまで急騰するなど、価格も高止まりが続いています。 さらに、温暖化などの影響で、ガーナやコートジボワールでは2050年までにカカオ豆の栽培に適した土地が大幅に減るとの研究もあります。ロッテはバイオ炭として農園にまき、土壌の改善と生産性の向上を目指すとしています。 「主原料のカカオが抱える課題の解決に貢献し、持続可能な調達を行っていくことは将来にわたって消費者にチョコレートを安定的に届けるためには重要」(「ロッテ」サスティナビリティ推進部の飯田智晴課長) ※ワールドビジネスサテライト