マイナンバーカードは預貯金口座とひも付けしなければならないのですか? 「預貯金口座管理法」が施行されたのを見て気になりました。
「預貯金口座管理法」が2024年4月1日から施行されましたが、「公金受取口座登録法」と混同される面もあり、その内容は正しく理解されていない点があるようです。この法律は、マイナンバーカードと預金口座の「登録や管理」を促進するためのものだと捉えている人も多いようですが、実際はどのようなものなのか、具体的に内容を見てみましょう。
「預貯金口座管理法」と「公金受取口座登録法」とは
マイナンバーカード(マイナカード)と預貯金の「登録や管理」は「ひも付け」と表現されることが一般的ですが、2018年から本人の同意に基づいて行われてきました。しかし、報道などでマイナカードの普及率が80%を超えたといわれる一方で、マイナカードと預金口座の「ひも付け」率は5%以下ともいわれています。 マイナカードと預貯金口座の「ひも付け」にはさまざまな意見もありますが、「預貯金口座管理法」の施行や「公金受取口座登録法」の改定施行を進めることによって、マイナカードを利用する国民の利便性と行政の効率化に役立つ点も多いと思われます。 この2つの法律は混同されている面もあるため、ここでは、それぞれの内容の確認も含めて見てみましょう。
預貯金口座管理制度でできること
預金口座管理法に基づいて実施されている預金口座管理制度は、以下のようなことが行われています。 1)預貯金者が、預金口座をマイナカードによって管理することを希望すると、預金口座とマイナカードが「ひも付け」されます。なお、これは強制ではないと明示されています。 2)預金者が希望すれば、預金保険機構を経由して、他の金融機関の口座についても「ひも付け」が行われます。自動的にひも付けが行われることはありません。 3)災害時などには、預金者のマイナンバーにより口座情報の提供を受けることができます。災害で通帳を紛失した場合などに、この情報により支払い(預金引き出し)を受けることが可能になるということです。 【図表1】
※デジタル庁「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律の概要」に基づき筆者が作成 4)相続の際には、相続人は、被相続人を名義人とする金融機関の口座に関する情報の提供を求めることができます。その結果、相続人は預金保険機構から登録している全ての口座情報の通知を受けることができます。 【図表2】