「1人で決めるなんてこの世の中難しすぎる」妊娠の相談で「死にたい」403件──男性からの相談も
日テレNEWS NNN
「死ぬしかないと思っていたけど、どうせ死ぬなら相談してからでもいいかと思った。助けてください」これは、孤立した妊婦からのSOSです。認定NPO法人ピッコラーレは、このように妊娠したかもと不安を抱く人からの相談を受け、産むかどうかを一緒に考えたり、出産後の居場所提供など支援を行ってきました。 相談支援員として活動する松下清美さんに、報道局ジェンダー班の庭野めぐみ解説委員が話をききます。 *Podcastできく*【望まない妊娠】妊婦のSOSをきくピッコラーレの相談支援員にインタビュー「妊娠を1人で決めるなんてこの世の中難しすぎる」 相談はこちら> にんしんSOS東京 | 思いがけない妊娠の相談窓口(東京在住者以外も相談可)
https://nsost.jp/
■「死ぬなら相談してからでもいいかと思った」透明化された妊婦たちのSOS
──ピッコラーレには今までにどれくらいの相談が寄せられているのでしょうか。 2015年の12月から今までで、相談者の方は1万2000人ぐらいです。「もう死ぬしかないと思っていたけど、どうせ死ぬなら相談してからでもいいかと思った。助けてください」といったメールも多いんです。もう死ぬしかないと思ってしまうのは自然な流れだと思っていて、調べてみたんです。(相談のメッセージの中で)「死」という言葉だけで1552件ありました。「死にたい」まで書いてあったのは403件ありました。それから「消えたい」というのも158件ありました。 「どうせ死ぬなら相談してからでもいいか」というのはどういうことなんだろうと思った時に、もう死ぬしかないと思うくらい誰にも知られていなくて孤立している自分、妊婦である自分を誰も見てくれなくて、透明化されている、そういう私を見てほしいということ。「妊娠してしまって死ぬしかないと思っている私がここにいるということを、あなたの相談窓口だけでも知ってちょうだい」ということかなと思ったんですね。
■家族が居ても「誰も気が付いてない」──なぜ妊婦は透明化されるのか
──なぜ、死ぬしかないと思うほど、妊娠を1人で抱えてしまうのでしょうか。 妊娠が進んでから私たちのところに連絡をくれる人もいるのですが、「家の人で妊娠に気が付いてくれている人はいる?」ときくと、「誰も気が付いてない」と。「体とか変わるでしょう?」と言うと、「太ったことにしている」と、そんなふうに言っているのです。 (若くして望まない妊娠をした人は)「妊娠を親には絶対言えない」と思うことがとても多いです。そこにはいろんな理由があります。例えば虐待があるおうちであれば、親に言ったら何をされるかわからないから怖くて言えない。ただ、そればかりじゃなくて、何にも問題がありそうに見えない家庭であったとしてもこういうことが起きるということは窓口にいるとわかるんです。 (赤ちゃんが)0日死亡してしまった環境についての調査では、「同居者あり」なんだけれども0日死亡に至ってしまった人が一番多かったという結果が出ています。