「1人で決めるなんてこの世の中難しすぎる」妊娠の相談で「死にたい」403件──男性からの相談も
■事件の背景に…「助けて」と言いにくい社会
──生まれたばかりの赤ちゃんが遺棄される事件が何度も起きています。そうした事件の背景には、虐待や貧困などが重なっているのでしょうか。 そういう方もいらっしゃると思います。あるいは、そういう人が「助けて」と言いにくい社会だということはあります。「助けて」なんてことを言ったら誰かに怒られるとか、非難されるとか思っていたら、絶対助けてなんて言えないですよね。 例えば、「妊娠している」というと「おめでとうございます」から入る、まだ産んで育てると決めていないのに「ママ」と呼ぶ、そういうところに母性神話みたいなものが残っています。当たり前とみんな感じているけれど、危機的な妊娠をしてしまった人は特に感じると思うんですね。 だから、「彼女は私だったかもしれない」という感覚を持っておくことがとても大事じゃないかと私は思っています。遺棄の事件があった時に、ネットニュースにコメントがつくじゃないですか。そうすると、「こういう人にはもう一生子どもを産ませないようにした方がいいと思います」とかいうコメントに「いいね」がすごくいっぱいつくんですよね。「いいね」をする前に、どうしてそうなってしまったのか、考えてほしいです。
■「妊娠が困りごとになっちゃうのはあなたのせいじゃないよ」
──今「妊娠したかも」とか、妊娠して悩んでいる人にはどう呼びかけたいですか? 1人で抱えないで、絶対怒らないから連絡してきてほしいです。 「私がどうにかしなければいけないと思います」とか「自業自得だと思うけど、ただ死にたいと思います」とか思う人がとても多いんだけれども、あなたの責任じゃないよというふうに思います。 相手があることだからということももちろんそうだけど、妊娠が困りごとになっちゃうのはあなたのせいじゃないよ、社会のせいだよと私たちは思っているから、自分を責めないでねと思います。どんな妊娠であってもね。 妊娠を1人で決めるなんて、この世の中難しすぎるよということ。だから決めなくていいよって、そういうふうに私は少なくとも言いたいなと思っています。 ──妊娠で困っているかもしれない人が周囲に居たら、できることはありますか? もしあなたのお友達でそういう人がいたら、遠慮せずに私たちにお話ししてくだされば、「お友達どんな人なの?」から始まって、もしお友達が電話できそうだったらとか、チャットができそうだったらという話をして、そのお友達とつながる方法を一緒に考えることができるから、連絡くださいねと思います。 学校の先生からも来たりしますから、生徒が心配という人がいれば連絡いただければと思います。問題を解決するときは本人とのやりとりが必要なので、先生との間で妊娠を解決するということはできないんですが、とにかく私たちはその人が大変なことにならないように、その妊娠を一緒に抱えていくことはお約束できるので。