「日本人だけで世界展開できる」 VR機器開発のシフトール、C&R社傘下でシナジー 岩佐CEOが戦略語る
VR(仮想現実)関連機器などの開発・販売をするShiftall(シフトール、東京都中央区)が、知財開発をはじめ映像やゲームなどプロフェッショナル支援を手掛けるクリーク・アンド・リバー社(C&R社)の傘下に入り新たなスタートを切った。岩佐琢磨CEO(最高経営責任者)に戦略を聞いた。 【関連写真】世界最大のIT・家電見本市「CES」で新製品を披露する岩佐CEO ―パナソニックグループでこれまで事業を進めていました。 岩佐CEO パナソニックの新規事業創出を目的に18年、CTO(最高技術責任者)直轄の部隊として、100%子会社として当社が立ち上がった。例えば、パナソニックのデザイン部門と連携して「ウェアスペース」という、パーソナルスペースがすぐに作れるウェアラブル端末を開発した。 ―VRに本格的に取り組み始めたきっかけは何ですか。 岩佐CEO 新型コロナウイルス感染症の拡大で世の中がステイホームになった際にVRが拡大した。「VR×ハード」に着目し、VR周辺機器が面白いと思ったのが21年のこと。2月にはVRメタバース事業に参入することを表明し、米ゲーム制作会社Valve社のゲームプラットフォーム「SteamVR」用のフルトラッキング・システムを個人で開発してきたizm氏と共同で「HaritoraX(ハリトラックス)」の開発を始め、夏から発売した。これをきっかけにリソースをVRにシフトし、22年にはVR機器の開発が7~8割を占めるようになった。 ―今年2月にC&R社傘下に入りました。 岩佐CEO パナソニックホールディングス傘下で事業に取り組んできたが、BtoC(一般消費者向け)のVRで事業拡大を目指す中、VRやメタバースに関するコンテンツ開発などに強いC&R社と出会い傘下に入ることを決めた。引き続きパナソニックとも密に連携していくとともに、C&R社の知見を融合し、さらに成長が期待できると思っている。 ―今後はどのような事業展開を描いていますか。 岩佐CEO グローバルでは「VRチャット」のユーザーが拡大しており、ここに対応したハードの売れ行きは好調だ。この市場を捉えたマーケティングと製品展開をすることで海外をさらに伸ばしていく。海外売上比率を7~8割に広げたいと考えている。 当社スタッフは日本人のみだが、日本を拠点に企画・開発をしながら、世界に製品展開できるノウハウを持っている。他社と連携した製品展開なども進めていきたい。
電波新聞社 報道本部