ECBの物価目標達成近づく、サービス業巡り警戒-総裁がFTに語る
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)はインフレ目標の達成に近づいているが、一部のセクターに引き続き潜む危険性への警戒を怠ってはならないとラガルド総裁が呼びかけた。
ラガルド氏は23日に公表された英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のポッドキャストで、「われわれは持続的に中期的なインフレ率を2%に引き下げたと宣言できる段階に非常に近づいている」と述べた。
同氏はその上で、「少し留保を付けた上でそう言っている。なぜなら、サービス業については依然として強い警戒が必要だと考えているからだ」と明らかにした。
ラガルド氏は、サービス業における物価上昇率はまだECB目標のほぼ倍だと指摘し、政策担当者にユーロ圏における賃金と企業利益の推移を注視するよう促した。
FTとの別のインタビューで、ECB政策委員会メンバーのマクルーフ・アイルランド中銀総裁は、貿易関税による景気悪化を想定し、事前に金利を引き下げる「保険」的な動きという考え方について、適切ではなく、「実際には別の問題を生み出す可能性がある」と語った。
マクルーフ氏は、経済生産を抑制も刺激もしないいわゆる中立金利の水準に関し、「2%を下回ると主張する人々は恐らく先走りしている」と警告した。
ラガルド氏は貿易問題について、米国で第2次トランプ政権が発足すれば、有害な摩擦が生じる恐れがあるとあらためて懸念を表明。
「報復は悪いアプローチだと私は述べた。なぜなら、報復に続く貿易制限や、こうした応酬や対立的な貿易への対処方法は、世界経済全体にとって悪い影響しかもたらさないと思うためだ。そして、米経済にとっても悪い結果をもたらす可能性がある」との見方を示した。
原題:ECB Very Close to Meeting 2% Inflation Target, Lagarde Tells FT(抜粋)
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Jana Randow