勤労統計問題で特別監察委が報告(全文1)職員ら69名にヒアリング
2009年以降、東京都での一部調査で抽出率を復元していなかったことについての報告
4番目の事実関係でございますが、2009年以降の調査以降の東京都の従業員30人以上499人以下の事業所の一部で、異なる抽出率の復元が行われていなかったことについての事実関係というふうになります。ここにつきましては、次のページ、8ページの最初の丸でございますが、2008年調査までは東京都とほかの都道府県、全調査分の抽出率は同一であったが、2009年調査から東京都と他の道府県の抽出率が一部の産業で異なることになった。しかしながら、東京都と他の道府県と同一の復元倍率を用いて復元を行っていたため、正しい復元がなされなかった。以降2017年調査に至るまで復元方法について、プログラム上、必要な改修がなされず、正しい復元が行われなかったということになります。 500人以上の全数のところがいろいろ議論になっておりますが、同時にここで言っておりますのは、その下のほうのところについての抽出の比率についてですね。ほかの県と東京都で違った扱い。要はサンプルが多いために、こういうたくさんのサンプルを統計的安定性を考えて取る必要はないんじゃないかというような議論が、あとで出てきますが、ということがあり、こういうような扱いがなされたというふうになっています。 また、毎月の統計調査の年報には産業別、企業別の抽出率が記載された表が掲載されているが、抽出率が他の道府県と異なることになった産業についての東京都における抽出率は掲載されていないというふうになっております。 2011年8月4日、毎月の統計調査の変更について、総務大臣から調査計画の承認を受けた際に、調査対象事業所の選定の方法に関わる項目について、全国調査のうち常用労働者を常時30人以上雇用する事業所においては、地域別に異なる抽出方法を行わないことを意味する産業・規模別の層化無作為一段抽出という方法によって抽出を行うことを、調査計画に明記しており、承認を受けている。ですから、東京都だけ抽出率が違うというようなことが扱われていないということになります。 一方で、実際には事業所数が多い東京都は、地方調査を実施しない代わり、工業、砕石業、そして砂利採取業等の一部の産業における、規模30人以上、499人以下の事業所の調査について、これらの産業が極めて標本が少ないという特殊事情を鑑み、全国調査において定められた全国一律の抽出率とは異なる抽出率を使用して、全国調査として実施していた。要は産業特性、地域によって違いますので、それを考慮したっていうようなことになっていると思います。 これにより承認を受けた調査計画と実際の方法との間に一部齟齬が生じることがあった。要は、実際には抽出率を変えているわけですが、それを総務省のほうには申請していなかったということになるかと思います。