鹿島のVシナリオを崩した不可解ジャッジ
負けるにしても0‐1。もし2点差以上をつけられたら、第2戦を待つことなく事実上の終戦を迎える。不可解なPKで浦和にアウェイゴールを献上し、逆転することはおろか、追いつくこともできなかったが、途切れそうな気持ちを必死に紡いだ末の黒星に昌子は努めて前を向いた。 「0‐1のスコアは最低限かな」 先制された直後からは、右足の違和感で戦列を離れていた司令塔・柴崎岳が復帰。28分間のプレーながら背番号「10」は鹿島の攻撃を差配し、金崎と並ぶチーム最多タイの3本のシュートを放った。柴崎が入った後に生じた鹿島の変化を、日本代表DF槙野智章はこう振り返る。 「柴崎選手が入ることで鹿島の選手の動き方、ボールの動かし方が変わると思っていましたけど、実際、周りの選手の動き出しが速くなりましたよね」 浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、柴崎対策として守備力に長けるボランチ・青木拓矢を後半29分から投入。後半だけで11本のシュートを浴びるなかで1点を守り切ったが、柴崎が第2戦で先発に復帰すれば違った展開に持ち込むことも十分に可能になる。 鹿島が逆転で王者を獲得するには、何よりも第2戦で勝利が求められる。しかも、1‐0のスコアならば浦和に凱歌があがる。 「今日よりもさらに攻撃的に行かなきゃいけないし、そのなかで失点してしまえば絶望的になる。難しいけど、それでも気持ちを切り替えて、絶対に2点以上取って勝ちたい」 中3日の調整時間を、ハーフタイムと考えれば――。特に強靭なメンタルが求められる“後半”の90分間で、J1屈指の勝負強さを誇る鹿島の真価が問われることになる。鹿島が逆転で王者を獲得するには、何よりも第2戦で勝利が求められる。しかも、1‐0のスコアならば浦和に凱歌があがる。FW土居聖真が力を込める。 「今日よりもさらに攻撃的に行かなきゃいけないし、そのなかで失点してしまえば絶望的になる。難しいけど、それでも気持ちを切り替えて、絶対に2点以上取って勝ちたい」 (文責・藤江直人/スポーツライター)