SNS戦略が奏功 奇跡のアニメ『キンプリ』上映館数減でも大ヒットの理由
『君の名は。』や『この世界の片隅に』のヒットが大きく報じられた2016年のアニメ映画だが、もう一つ、奇跡的な成功をおさめた劇場作品があった。『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(キンプリ)だ。 2016年1月に全国14館で封切りされた本作は、最終的には累計で130館まで上映館を増やし、興収も8億円を突破。1年半が経過した現在でも、応援上映として再上映されている地域もあるという。さらに17年6月10日に公開された新作『KING OF PRISM- PRIDE the HERO-』は56館という上映館数ながら、映画動員ランキングで7位に入る圧倒的なスクリーンアベレージの高さをみせた。 両作品のプロデューサーを務めた西浩子さんと、菱田正和監督が共に口を揃えて「奇跡が起きましたよね」と語っていたが、そこにはどんな偶然と必然があったのだろうか。お二人に話を聞いた。
女児向けアニメのスピンオフ作品が大ヒット
女児向けのテレビアニメ「プリティーリズム・レインボーライブ」のスピンオフ作品として制作された『KING OF PRISM by PrettyRhythm』。きっかけは「ファンからの続きを見たいという熱い思い」だったと語る西プロデューサー。しかし、商業的に採算を考えると、テレビアニメだけのユーザーでは厳しいということで、さまざまなアイデアを出し合い、テレビアニメファンの期待を裏切らず、さらに新規のファンを呼べるだけの仕掛けを考えたという。 出来上がった『KING OF PRISM by PrettyRhythm』は、菱田監督と西プロデューサーの願い通り、テレビアニメからのファンには絶大な支持を受けた。一方で、スタート時には新規のファンを思ったようには呼び込めず、公開から2週間で、14館あった劇場は9館まで減ったという。しかも「上映回数も朝8時と夜11時といった、働いている人には見づらい時間が多く、厳しい状況でした」と西プロデューサーは振り返る。