とぅるん。冬に「水ようかん」を食べるのって変わってますか?
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寒空を窓越しに眺めながら、ストーブがきいた暖かい部屋でテレビを見たり、おしゃべりを楽しんだりする。コタツの上にはみかんが並んで……。と、これが日本の冬の典型的な団らん風景なのだけれど、みかんに並んで、平べったい「水ようかん」の紙箱が置いてあるのが福井県。なぜそうなったのか分からないが、冬には欠かせない和スイーツで、福井県民なら、みんな「冬の水ようかん」が大好きだ。
お正月に水ようかんを食べる
「おこたに入りながら、みかんとおせちとお雑煮を食べたあとに、家族みんなで水ようかんを食べます。これが福井の水ようかんの食べ方です」。そう懐かしそうに話すのは、東京・銀座にあるアンテナショップ「食の國 福井館」の店長・飯田英範さん(44)。約30坪の店舗の一角には、冬限定の水ようかんコーナーが設けられていて、6種類の商品が並ぶ。 正月に食べるからといって、決して豪華な箱に入っているわけではない。逆に簡素というのか質素さが漂うパッケージだ。大きいA4サイズの箱なら一箱に500グラムくらいの水ようかんが詰まっている。これを1人でペロッとたいらげる人も珍しくない。武生市(現・越前市)出身の飯田さんは「小さい時に、冷蔵庫にあった水ようかん3箱を1人で全部食べてしまったことがあります。忘れられない思い出ですよ」と笑う。
同じ水ようかんと言っても、福井の水ようかんは「水々しい」のだと飯田さんは説明する。要は、普通の水ようかんよりも、糖分に対して水分が多く、甘さが控えめになっている。だからたくさん食べてしまう。同じ糖分でも、県北部の越前では黒糖を用い、南部の若狭では上白糖を使うことが多いらしい。 水ようかんの種類は、県内の和菓子屋の数だけあると言われ、ざっと百数十種類に及ぶ。「私は、越前市にある木津屋の水羊かんが好きで、実家から送ってもらいます。味は人により好き好きですよ」と飯田さん。一度、すべてを食べ比べてみたいが、さすがに、かないそうもない。なので、店頭の6種類を食べ比べてみることにした。