「スノーデン事件」って何?/米個人情報収集を暴露
いわゆる「スノーデン事件」とは、米国家安全保障局(NSA)がテロ対策として極秘に大量の個人情報を収集していたことを、元NSA外部契約社員のエドワード・スノーデン容疑者(30)が暴露した事件です。 米中央情報局(CIA)の元職員でもあるスノーデン容疑者は、香港滞在中の2013年6月上旬、英米紙に対してNSAの情報収集活動を相次いで暴露しました。米通信会社から市民数百万人の通話記録を入手したり、インターネット企業のデータベースから電子メールや画像などの情報を集めていたりしたといいます。
後者の情報収集プログラムはPRISM(プリズム)と呼ばれ、グーグルやアップル、フェイスブック、ヤフーなど大手ネット企業が持つデータにアクセスしていました。日本人の個人情報も見られている可能性があります。 オバマ米大統領は、これらの情報収集活動は合法的であり、テロ対策として有効だと反論しています。米当局は6月14日、スノーデン容疑者をスパイ容疑などで訴追し、その後パスポートも無効にしたため、彼は自由な出入国ができなくなりました。 米政府が容疑者の引き渡しを求める中、本人は6月23日に香港からモスクワに飛行機で移動。国際空港内の乗り継ぎ区域で滞在を続け(法的にはロシアに未入国)、7月12日に人権活動家らと初めて面会しました。 7月16日、スノーデン容疑者はロシアに一時亡命を申請しました。これまでにベネズエラとボリビア、ニカラグアの中南米3カ国が容疑者の亡命受け入れを表明しています。いずれも反米政権の国です。 8月1日、ロシアが1年間の亡命を認めたため、容疑者は正式にロシアに入国し、タクシーに乗って空港を出たそうです。 スノーデン事件は世界中に波紋を広げています。米国ではテロ対策とプライバシー侵害をめぐる議論が沸き起こりました。中国・香港が容疑者を出国させたことで、以前からサイバー攻撃をめぐって批判し合っている米中関係に悪影響が出ています。また米政府が欧州や日本などの友好国に対しても盗聴活動をしていたとスノーデン容疑者が暴露し、欧州各国が反発しています。