「60年家計簿をつけ続けてます」75周年の「アナログ家計簿」担当者が感じた意外な効果
家計簿アプリが全盛の今、それでもなお根強い人気を誇る家計簿が「お料理家計簿」。 75年前、女性誌「婦人倶楽部」から刊行されたものだ。 【写真】75周年となったロングセラー家計簿とその中身 家計簿の編集をするためにファイナンシャルプランナーの資格までとったという担当編集が、デジタル全盛のいま、「手書きの家計簿」の意味を感じたこととは。
なぜ50年も60年も書き続けるのか?
今どきの家計管理はアプリでしょう? と思う人は多いでしょう。しかし紙に手書きで記入する『お料理家計簿』は今年で75周年。今でも多くの方が愛用しています。 しかも「使い続けて60年」「結婚してから書き始めていて、これまでに50冊以上になっています」という熱心な方から毎年500通以上のはがきが届いています。 紙の需要が年々減り、種類が少なくなる中、『お料理家計簿』の使用の紙を変更せざるを得なくなった年がありました。そのときは「紙が変わったような気がしますが」という声が編集部あてに電話やはがきで何通も。スタッフでさえも気づかない人が多いところ、すぐに問い合わせが。そんなときでさえ「これまで50年使ってきましたが」「45年目になりますが」と枕詞のようにどれだけ長く使っているか伝える方々。 そして決まって「これからもできるだけ使いたいので続けてください」等のコメントが添えられるのです。これだけ愛されている『家計簿』の魅力とはなんでしょう?
家計簿はその家だけの歴史!
わが家でも幼いころ、家の食卓には赤い家計簿がよくのっていました。昭和50年代は刺繡や千代紙、日本人形などの赤のカバーが多く、リビングにあるとよく目につきました。今も使ってくださっているのは多くが70代。80代、中には90代の方も。 15年前には、60周年記念に読者の方に“「家計簿」と私”という体験記を応募し、『古くて新しい! 家計簿すすめ 講談社『お料理家計簿』の60年』からという本が刊行されました。経済高度成長期にちょうど使い始めた世代の方が多く、結婚を機に家計管理のために書き始め、子どもが生まれ、成長とともに教育費がかかるようなったり、家を購入しローンの支払いがあったり。家業が時代とともに変わり、生活の維持も変わったりと多くの家庭の歴史がありました。そして家計も一つとして同じものはないのです。