福岡県内のSNS詐欺被害額が60億円超える…大半でLINE悪用、グループに招待され投資名目で送金
福岡県内で今年1~10月に発生したSNS型投資・ロマンス詐欺被害が60億円を超えた。ニセ電話詐欺の年間最高被害額(2015年の約18億8000万円)をすでに大きく上回る状況となっている。1000万円以上の高額被害が目立っており、県警は手口の周知や啓発に力を入れている。(相良悠奨) 【グラフ】福岡県内の今年のSNS型投資・ロマンス詐欺被害の推移
県警生活安全総務課によると、今年の10月までの被害件数(暫定値)は、SNSで持ちかけた投資話でだまし取る「SNS型投資詐欺」が309件(約34億9000万円)、恋愛感情を抱かせて架空投資などで詐取する「ロマンス詐欺」が265件(約25億2000万円)。被害額は計約60億1000万円に上る。1~3月は月50件弱だったが、4月以降は月60件前後で推移し、9月は最多の70件となった。
1件あたりの被害額が大きく、1000万円超の被害は174件と全体の約3割を占める。9月上旬には、福岡市中央区の70歳代男性が、SNS型投資詐欺としては県内最高額となる1億8000万円を詐取された事案が判明した。
これらの詐欺の大半で悪用されているのがLINE(ライン)だ。総務省の2023年の調査によると13~69歳の利用率は95%で国民の「情報インフラ」になっており、県内では今年1~6月の被害件数計326件の9割超(300件)でLINEが使われていた。インスタグラムやフェイスブックなどで知り合ったアカウントからLINEグループに招待され、投資名目で送金を求められるケースが目立つという。
県警は、投資を持ちかける犯人側からメッセージが届かないようにするLINEの設定方法などの予防法をホームページに掲載。中央署も啓発チラシを配るなどして注意を呼びかけている。
同署の紫村幸輝・犯罪抑止対策室長は「『絶対もうかる』『元本保証』などのフレーズが出たら詐欺。振込先として指定された口座が個人名義だった場合も、詐欺の可能性がある。心当たりがある人はすぐに相談してほしい」と話している。