米FRB、インフレ抑制に重点回帰-市場に衝撃、国債相場や株価下落
(ブルームバーグ): 米金融当局は18日、3会合連続の利下げを決める一方、インフレ高止まりを巡る懸念を再び前面に押し出す姿勢を強く示唆した。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長も記者会見で当局のインフレ予測に言及してそれを端的に表現した。
金融当局者は9月公表の四半期経済予測の中央値で、インフレ率が2026年中に2%の当局目標に落ち着くと予想していたが、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に公表した最新予測では27年にずれ込むとの見通しが示された。
この結果、当局者は来年の利下げ回数見通しを中央値で0.25ポイントずつ計2回相当とし、9月時点の計4回相当から半減させた。
パウエル議長は先行きの追加利下げに関し、インフレ抑制に向けて一層の進展が見られるかどうか次第である点を明確にした。
インフレ抑制に再び重点を置くスタンスは、労働市場の軟化を一段と大きなリスクと当局者が考えていた9月当時からは様変わりだ。同月に開始した金融緩和では、パウエル議長が強力に主導する形で0.5ポイントの異例の大幅利下げに踏み切った経緯がある。
こうした情勢変化の背景には、インフレ率が2%の当局目標を上回る水準で下げ渋っていることを示す最近のデータや、トランプ次期大統領が掲げる減税や関税賦課、不法移民の大規模強制送還といった一連の政策がインフレ加速につながりかねないとの観測があると考えられる。
FOMCが打ち出した新たな金利の道筋の見通しに市場は迅速かつ激しく反応した。米国債相場と米株価は下落し、ドルは2年強ぶりの高水準に上昇した。
ブリーン・キャピタルのシニア・エコノミック・アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「今後、インフレ率のさらなる改善なしに利下げを実施するのは難しくなるだろう」と予想する。
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き下げて4.25-4.5%とする18日の決定に対し、クリーブランド連銀のハマック総裁が金利の据え置きを主張して反対票を投じた。