うちの凸凹―外科医と発達障害の3人姉弟――「できない・苦手」の原因は何か?道具選びで「解像度」を上げる
道具を試すことの「許可制・申請制」はストレスに
そういう道具を試す時に、避けてほしいのが許可制・申請制です。 理由はいくつかあって、その一つが「申請制だと、子どもは基本的に黙っている」です。そもそも、「道具を変えるとできるようになる」という経験がなければ、本人側に言い出す気はありません。「できない」と人に言うのもストレスです。 わざわざ申請が必要なければ、他の子どもに「○○君だけなぜ違う道具?」と言われることもないでしょう。気になった子どもも試せばいいのですから。なるべく人を介さない方が、子どもも気楽に試せます。 今回の次男の場合だと「大きな見やすい紙」という道具で、できないことが改善しました。学習帳一つをとっても、選択肢を広くしておくと、学校の先生同士の引き継ぎでの混乱も避けられるし、担任の技量に依存せずに済みます。 合う道具を探すときは、大人側が「労力を割いて『できない』ことを手伝う」より、「『できる道具、条件』を探す」といった感覚になれたほうが、お互いに精神的に消耗しにくいです。
「何ができないか」を絞れないと、大人側は労力が報われない介入を続けることになり、子ども側は分かっていることやどうしてもできないことをただ強制されることになります。 「障害に対する配慮や支援」という名前からは、やりだしてしまうとずっと負担になるものみたいなイメージを持つ方がいて、「最初から断ろう」の方向に心が動いてしまうことがあります。 しかし、むしろこうして解像度を上げるためにも配慮や支援は必要であり、さらに解像度を上げて「何ができないか」が詳しく分かると、大人側の介入の成功率を上げられるし、必要性を下げられることもあります。 こうした側面は、特に面倒くさがられがちな学校に伝わるといいなと思っています。
外科医ちっち(げかいちっち) 外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。 ・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟」 ・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる」 ・Note: https://note.com/titti2020/ ・Twitter: @surgeontitti