返礼品に“聖地巡礼”の事例も…ふるさと納税で「推し活」物価高背景に注目 約8割が控除上限突破
ふるさと納税サービス「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクが19日、ふるさと納税を活用した「推し活」(推しを応援する活動)に関する調査結果を発表。自社サービスでの利用動向によれば、ふるさと納税を通じて「推し活」を行うファンの8割以上が、控除上限額を超えてでも寄付を行った経験があることが明らかになった。 【画像】「ラブライブ」「サンリオ」作品名が含まれる返礼品の数は増加傾向と調査主体。返礼品の事例も見る
ポイントは「経済合理性」「心理的充足感」新たなふるさと納税の形か
調査は2024年12月に推し活実践者303人を対象に実施。推しの出身地や作品ゆかりの地を把握している回答者の約8割が実際にその地域を訪れた経験があり、いわゆる「聖地巡礼」への高い関心が示された。自治体によっては、好きな映画やアニメ、応援するスポーツ選手などにゆかりのある場所を地元の方と巡ることができる体験型の返礼品も用意されており、推し活関心層にダイレクトに届く内容になっているという。 具体的な支援規模も拡大傾向にある。サッカーJリーグの「川崎フロンターレ」関連商品への寄付額は、2024年1月から11月までの期間で前年同期比約3.8倍、2022年同期比で約5倍に増加。特撮作品「ゴジラ」関連商品においても、2024年1月から11月の寄付額は2022年同期比で約6倍となった。 自治体側の取り組みも活発化している。アニメ「ラブライブ!」関連のお礼の品は2021年比で3.2倍に増加し、「サンリオ」キャラクター関連商品では同期比24.5倍を記録。従来の返礼品に加え、作品の世界観を活かしたイベント開催やキャラクターを活用した地域PR等、「ガバメントクラウドファンディング」を通じた新たな支援の形も広がりを見せている。 トラストバンクの伊藤健作地域創生エバンジェリストは「物価高騰により娯楽支出を抑制せざるを得ない状況下で、ふるさと納税は実質2,000円の自己負担で推し活を行えるため、節約面での選択肢としての需要が高まっていると思われます。」「自治体側も、コンテンツを資源と捉え、関係・交流人口創出のための呼び水として積極的に活用しているため、今後もこの動きは一層加速していくことが予想されます。」と分析している。