「お金はあるのに、家具コーディネートがイケてない…」配送の仕事で気付いた業界の未来 「継ぐ気無し」の3代目が家具企業を成長させた
◆継がせたからには「決定権を任せる」
ーー事業承継がうまくいかない会社もある中で、リビングハウスが事業承継に成功した理由は何だと思いますか? 1つは、継がせる側の視点として、「継いだからには決定権を任せる」ことだと思います。 父と僕も会長と社長という立場から意見が対立することは度々ありましたが、最終的には父が「最終決定をするのはお前だ」と言ってくれたおかげで、大きく揉めて会社全体の雰囲気まで悪くなる……ということはありませんでした。 もう1つは、継ぐ側の視点として、「任せても良いと思ってもらえるだけの実績を積むこと」。 親子での事業承継に関わらず、経営や細かい仕事への姿勢も含めて「この人にだったら任せられるな」という信頼はやっぱり大切だと思います。
■プロフィール
株式会社リビングハウス 代表取締役社長 北村甲介氏 1977年6月22日、大阪市生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、ファッション関連のベンチャー企業に就職。その後、海外の家具ブランドの日本法人に就職し、家具の配送や組み立てなどの経験を積む。2004年、26歳の時に父が経営する株式会社リビングハウスへ入社。地方の店舗立ち上げや複数店舗を束ねるマネージャーを経験し、2011年に33歳で代表取締役社長に就任。著書に『「かなぁ?」から始まる未来 家具屋3代目社長のマインドセット』(幻冬舎)がある。
取材・文/川島愛里